【ソフトバンク】山川穂高 大ブーイングでも貫いた「どすこい」2発 染みついた熱男の魂

やり続ける理由がある――。ソフトバンクの山川穂高内野手(32)がFA移籍後初めて古巣本拠地で臨んだ西武3連戦(ベルーナ)は“劇場型”だった。

12日の第1戦は全打席で耳をつんざくような大ブーイングで迎えられた。続く13日の2戦目はプロ野球史上2人目となる2打席連続満塁本塁打の離れ業。1本目では代名詞の“どすこいパフォーマンス”を披露して大ブーイングを食らったが、2本目は衝撃的な連発ということもあって獅子党は沈黙。不祥事など紆余曲折を経て同一リーグのライバル球団にFA移籍した大砲ゆえに、大きな話題を呼んだ。

とりわけ西武ファンのアレルギー反応が強かった「どすこい」。山川は2戦目の後にこう語っていた。「ロッカーの中の会話とかで『ホームラン打ったらやってね』というのはあるんで。どうしようかなという部分もあったんですけど、一緒に戦っていく仲間と盛り上がる一つの方法。みんなの思いもあるんでやります」。迷いがなかったわけではないが、信念を貫いた。

そもそも本塁打パフォーマンスをなぜ始めたのか。「松田さんは、僕が一番尊敬している選手なんです。到底近づけないですが、ああいうプロ野球選手になりたいんです」。ホークスOBの「熱男」こと松田宣浩氏に感化されたのがきっかけだった。勝っていようが負けていようがベンチを盛り上げ、球場に一体感を生む。同氏の現役時代に交流を深め、パフォーマンスの改良なども直接相談した。西武在籍時に臨んだ昨春のWBCでは球団の垣根を越えて“熱男魂”を「継承したい」と語り、侍ジャパンでも体現してきた。

野球選手としてグラウンドに立ち続ける以上は変わらない信念。熱男の偉大さを人一倍知るホークスナインに求められたことも大きい。「打ったらやるもんだと思ってやっていいのかなと思っています」。古巣本拠地では迷いがあったことを正直に吐露したあたりは、いかにも山川らしい愛嬌だったが、切り離せない理由は明確にある。

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