バイバイ、タンタン 惜別の花絶えず 震災後に来日、傷ついた神戸を癒やしたアイドル

タンタンが過ごしたパンダ舎。献花台に花を手向け、手を合わせる人たちの姿がガラスに映り込む=神戸市灘区王子町3(撮影・大田将之)

 積み上がった花束のみずみずしさは来場者が絶えないあかし。主がいなくなった部屋のガラス窓には、手を合わせる人たちの悲しみが浮かび上がる。

 神戸市立王子動物園(神戸市灘区)のジャイアントパンダ「タンタン」が息を引き取ったのは先月末。28歳の年齢は人間であればほぼ100歳といい、晩年は高齢ゆえの心疾患との闘いだった。中国から来日して24年間、愛らしい姿形としぐさで、阪神・淡路大震災で傷ついた街の人々を癒やしてきた。

 園は当面、タンタンの写真が飾られたパンダ舎に献花台を置いておく予定だ。多くの時間を一緒に過ごした感謝と寂しさを祈りに込めて、「ありがとう」。そして「バイバイ、タンタン」。(大田将之)

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