【J2「ダービー」】仙台、MF相良の「弾丸ミドル」先制点で快勝 先行逃げ切りの理想的展開でいざ「横綱、大関」戦へ(1)

先制点となる弾丸ミドルを決めた相良竜之介  撮影/中地拓也

■「みちのくダービー」は仙台が先行

こういう試合をやりたいのだろう。

J2リーグ第10節が4月13、14日に行なわれ、ベガルタ仙台はモンテディオ山形とのホームゲームに臨んだ。仙台は3勝5分1位の8位、山形は4勝1分4敗の11位で、この「みちのくダービー」の結果次第で順位が入れ替わる。

仙台の森山佳郎監督は、開幕から前線の組合せを探ってきた。ここまで同じ組合せを繰り返すことはなかったが、藤枝MYFCと引分けた前節と同じFW中山仁斗とFW中島元彦、右MF郷家友太、左MF相良竜之介がスタメンに並んだ。この4人が先発で起用されるのは、7節の横浜FC戦を含めて3度目になる。森山監督の構想が、固まってきたのかもしれない。

果たして、仙台は10分にスコアを動かす。相手GKの左SBへのフィードを、右SB高田椋汰が引っかける。カウンター発動だ。こぼれたボールを中山が収め、左サイドへ展開する。パスを受けたのは相良だ。カットインして右足でシュート態勢を整えると、低い弾道の一撃がゴール右へ突き刺さる。得意の形からしっかりと決めきった。

相良はチームトップの4ゴール目となる。サガン鳥栖からの期限付き移籍を完全移籍へ切り替えた今シーズン、21歳のサイドアタッカーは覚醒の時を迎えつつある。

開始早々に先制した仙台は、38分にもゴールネットを揺らす。左SB石尾陸登のロングスローをきっかけに2次、3次と攻撃を繰り出し、ゴール前に残っていたCB菅田真啓がヘディングシュートを決めた。

前半10分の得点は今シーズンもっとも早いもので、前半の2ゴールは今シーズン初めてだ。仙台は申し分のない試合運びで、ハーフタイムを迎えた。

■理想的な展開で仙台が3試合ぶり白星

前半を2対0で折り返した仙台にとって、山形が後半開始からパワーを注いでくることは想定内だったはずだ。ある程度ボールを握られるなかでも、守備のバランスを崩さずに対応していく。68分にMF長澤和輝が負傷退場するアクシデントに見舞われたものの、代わって出場したMF松井蓮之がスムーズにゲームに入り、仙台の試合運びは落ち着きを保つ。

山形が63分、76分、82分と交代カードを切り、選手の立ち位置を変えてきたのに対して、仙台は68分の長澤の負傷交代と、77分の中島からFWエロンへの交代で試合を進めていった。交代カードを早い段階で多く切らなかったのは、相手の攻撃を跳ね返しながら追加点を狙っていく姿勢が、チームに浸透してきているからだろう。前線から規制をかけ、中盤とDFラインが連動する守備は、最後まで崩れなかった。

森山監督はアディショナルタイムにDF知念哲矢、MFオナイウ情滋を送り出し、最後は5バックで逃げ切った。3試合ぶりの白星である。

試合後のフラッシュインタビューでは、「素晴らしい1点目と2点目が大きかった」と振り返った。4試合ぶりのクリーンシートも評価した。守備を整備した今シーズンの仙台にとって、今日のような先行逃げ切りの試合展開は理想的だろう。

4月20日開催の次節は、清水エスパルスとのアウェイゲームだ。森山監督は「(今後の対戦相手が)横綱、大関と続いていくので、そういうときこそ僕らも強く戦える。守備からの攻撃という良さが出ると思うので、恐れずに立ち向かっていきたい」と話した。

ここまで7勝1分2敗で首位を走る清水は、「東の横綱」と言っていい立場だ。その翌週はジェフユナイテッド千葉をホームに迎える。ここまで4勝2分4敗の10位だが、昨シーズンはJ1昇格プレーオフに進出している。

J1昇格を争うライバルとの連戦でも、この日のような戦いを見せることができるか。まずは清水戦に注目だ。

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