鶯や窓をひらけば竹の藪 正岡子規 房総旅行最初の宿泊地 八千代大和田宿を描写 旅籠屋跡地に句碑 「新たな名所」市長歓迎

句碑の設置を喜ぶ高橋さん=2024年3月、八千代市

 明治時代の俳人、正岡子規が房総旅行で立ち寄った八千代市大和田地区で俳句を詠んでから133年の先月、句の舞台となった旅籠屋の跡地に句碑が設置された。句は「鶯(うぐいす)や 窓をひらけば 竹の藪(やぶ)」で、旅の1泊目を過ごした朝の目覚めを描写している。句碑を通じ、宿場町のにぎわいやウグイスが鳴くのどかな様子など、かつて地元に広がっていた情景を伝える。

 主導したのは、市観光協会や市立郷土博物館の代表者らで作る実行委員会。26日の除幕式で、杉山智基委員長は「江戸から明治時代に思いをはせ、俳句文化の発展に寄与すれば」とあいさつ。服部友則市長は「八千代の新たな名所の誕生」と歓迎した。

 1891年、子規は親友の夏目漱石に触発され、房総半島周遊の旅に出た。3月25日に東京本郷の寄宿舎を出発し、8泊9日で成田山や千葉、館山などを回った。その最初の宿泊地が成田街道沿いで宿場町として栄えた八千代の大和田宿だった。

 泊まったのは「柳家」とされ、銭湯が併設されており裏には竹やぶがあったという。柳屋は既になくなり、現在は住宅となっているものの、所有者の高橋愛子さん(73)は現在も柳家の屋号を掲げている。2021年に高橋さんが自宅を建て替えるのを機に、敷地の一角を活用して句碑を置くことを打診し、実現した。

 句碑は高さおよそ1.3メートル、幅60センチで、材質は小松石。約70万円の費用は全額寄付でまかなった。維持管理のため、引き続き寄付を受け付ける。詳細は観光協会ホームページ。住所は八千代市大和田804の1。

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