【日経平均株価】地政学リスクの高まりで、上値の重い展開か

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半導体関連銘柄にけん引されて小幅に上昇

2024年4月12日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比80円92銭高の3万9523円55銭となりました。3日ぶりの反発です。前日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続落していたものの、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は約3週間ぶりに最高値を更新していたことから、東京市場でもアドバンテスト、SCREENホールディングス、東京エレクトロン、レーザーテックなど、半導体関連銘柄が買われました。また、外国為替市場で1ドル=153円台と円安・ドル高傾向になっていることから、自動車、機械など輸出関連銘柄も伸びました。

今週、日経平均はどのような動きになるでしょうか。12日の米株式市場でダウ平均は前日比475ドル84セント安の3万7983ドル24セントで終えています。5日続落で、1月下旬以来の安値圏となっています。

背景にあるのが中東情勢です。イスラエルは1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館周辺を空爆しました。イランは報復を宣言しており、緊張が高まっています。投資家の間に、リスク回避のために株式を手じまう動きが広がっています。

中東地域で紛争が広がると原油の供給にも影響を与えます。米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物相場は12日、一時1バレル87.67ドルまで上昇しました。燃料費の高騰につながれば、日本企業の経営にもインパクトが出ます。

円相場は引き続き、円安・ドル高傾向が続いています。12日のニューヨーク外国為替市場で円相場は小幅に反発したものの、1ドル=153円20~30銭と安値圏となっています。1ドル=152円では日本政府の円買い介入があるのではという見方も多かったのですが、一気に突破してしまいました。1ドル=155円までには介入があるのではないかとの見方が広がっています。

重要なのはそれがいつ行われるかという点です。東京市場の営業時間内に行われ、円が急騰(ドルが急落)した場合、輸出関連銘柄などが売られることもあるので注意が必要です。
今週は18日に台湾積体電路製造(TSMC)の1~3月期の決算発表が行われます。10日に発表した同社の3月の月次収益は前年同月比で34%の増加でした。生成AIなどにけん引される半導体産業を占う点でも注目されます。

10日に発表した同社の3月の月次収益は前年同月比で34%の増加でした。

25日移動平均線付近で上値を押さえられる

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週はローソク足の実体が25日移動平均線を割り込み、先週、そこから挽回できるかどうかがポイントでした。実際には週初8日(月)から十字線のような形での小幅な値動きとなり、その後もローソク足の実体が短いもみ合いが続きました。ただ、25日線にかかると利益確定売りなども出て、これを越えることができませんでした。

今後の展開はどうなるでしょうか。25日線付近で上値の重い動きが続いていますが、ここからつるべ落としのように下落することも考えにくいところです。先週も、直近の押し安値である3月12日の安値(3万8271円)付近では押し目買いが入っており、下値の固さも感じさせます。このあたりを割り込むことがなければ目線は上に持っていいでしょう。

今週、まずは25日線を回復できるかどうかが注目されます。25日線を回復し、下値がサポートされるようであれば、直近の戻り高値である3月22日の高値(4万1087円)あたりまでの上昇も期待できます。

25日線を回復し、下値がサポートされるようであれば、3月22日の高値あたりまでの上昇も期待できる。

参考資料

  • 日本経済新聞 日経平均株価

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