水原一平容疑者は〝大谷翔平を金づるとしか思っていなかったのか〟日本球界から怒りの声

大谷翔平(左)と水原一平容疑者

衝撃の顛末だった。通訳の立場を悪用し、ドジャース・大谷翔平投手(29)の口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を違法ブックメーカーに不正送金した銀行詐欺の容疑で訴追された水原一平容疑者(39)。大谷を献身的にサポートしたというかつてのイメージとはあまりにもかけ離れた“裏の顔”に、日本球界内からも驚きと怒りの声が上がっている。

蛮行の詳細が明らかになるにつれ、想像を絶する規模の大きさに衝撃が広がっている。

450万ドル(約6億8000万円)を上回るとされていた不正送金の額は、連邦地検の捜査によって実際は4倍近いことが判明。2021年9月から違法なスポーツ賭博に手を染め、自ら作った多額の借金を返済するため大谷の口座から盗みを繰り返した。それでありながら、ギャンブルで儲けた金は大谷ではなく自身の口座に振り込ませていた。

また、今年1月からは「ジェイ・ミン」なる偽名を使い、大谷の口座で総額32万5000ドル(約4900万円)、1000枚もの野球カードを勝手に購入し、ドジャースのクラブハウスに郵送していた。こちらは転売目的だったとみられる。

そして、最大の謎だった大谷の銀行口座を“強奪”した悪質極まりない手口には世界が仰天した。借金を抱えた後、大谷本人になりすまして銀行に電話をかけ、自らの電話番号とメールアドレスにひも付けるように変更。犯罪行為に米捜査当局やメディアの手が及んで逃げ場を失うと、胴元側に「もうおしまいだ」とメッセージを送ったことも明らかになっている。

大谷が17年までプレーした日本ハムには水原容疑者も在籍。翌18年から大谷の専属通訳として海を渡り、車の運転やキャッチボール相手を務めるなど通訳の枠を超えて支えてきたのは周知の通りだ。大谷の信頼を悪用した裏切り行為に日本のプロ野球界からもさまざまな声が聞かれた。

球界関係者の一人は「言葉にならない。一体どんな思いで大谷のそばにいたのか。単なる“金づる”としか思っていなかったのか…。普通の神経なら、とてもじゃないけど近くにいられない」と怒りに声を震わせた。

また、別のセ球団の関係者は「銀行に厳重なセキュリティーがかけられている中で『電話』という“アナログ”な手法で突破できたことに驚いた。それだけ水原容疑者にはウソをつく才能があるのか…。ある意味で天才なのかもしれない」と皮肉めいたセリフを吐き捨てた。

フリードマン弁護士によると、訴追された水原容疑者は「彼は大谷氏、ドジャース、メジャーリーグベースボール、そして彼の家族に謝罪したいと考えてます。法廷で指摘されているように、彼はギャンブルの治療も望んでいます」という。

次回は5月9日に出廷する予定。有罪判決が下されれば最高で禁錮30年、罰金100万ドル(約1億5000万円)が科せられる。

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