子どもの武道離れ深刻…50年続いた剣道大会、団員不足で歴史に幕 日置

吹上建国記念剣道大会に参加する子ども剣士たち=2016年6月、日置市の吹上浜公園体育館(大寺知則さん提供)

 鹿児島県日置市吹上で子ども剣士たちが熱戦を繰り広げてきた「吹上建国記念剣道大会」が50回の歴史に幕を下ろした。地元の天昌剣道スポーツ少年団員が今春いなくなり、大会運営を担う保護者の確保が困難になったため。同少年団総監督の大寺知則さん(72)は「何とかして続けたかった。苦渋の決断」と明かす。市スポーツ少年団本部総会で5日、天昌剣道団の解団が報告され、大寺さんは50年以上、青少年の健全育成に貢献したとして感謝状を受け取った。

 大寺さんによると、大会は2月11日の「建国記念の日」に合わせ、1970(昭和45)年に約10チームが参加し始まった。他の大会と重ならない6月に変更したところ、市内外からの参加が増え、130チームを超える規模に。19年の50回記念大会後は、新型コロナウイルス禍のため開催を見合わせていた。

 島津豊久の墓がある天昌寺跡に由来する剣道団は65年に設立された。大寺さんは70年から指導に加わり、週3、4回活動。一時は団員が約50人おり、全国大会にも団体出場した。近年は少子化や武道離れの影響で競技人口が激減。団員が中学生1人だった直近3年間は活動していなかった。

 大寺さんは「大会再開を模索したが、地元の子が出ないのが大きかった。日置には剣道スポーツ少年団が三つ残っており、何らかの形でサポートしたい」と話した。

「忍耐」と書かれた剣道の面タオルを示し、日置市のスポーツ少年団関係者に感謝の言葉を述べる大寺知則さん=市中央公民館

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