清原兄弟に衝撃「こんなに似るものなのか」 弟と甲子園Vの丸田…4年生の兄に“反撃”

試合後に取材に応じた慶大・丸田湊斗、堀井哲也監督、清原正吾(左から)【写真:宮脇広久】

清原正吾、父譲りの思考「得点につながる打球が打てたら僕は満足」

“ジュニア”と“美白王子”が絶妙の掛け合いを演じた。東京六大学野球の春季リーグ戦は14日、昨秋優勝の慶大が東大2回戦に8-3で勝ち、開幕カード連勝で勝ち点1を獲得した。NPB歴代5位の通算525本塁打を誇る清原和博氏の長男・正吾内野手(4年)は、2戦連続打点をマーク。一方、昨夏の甲子園で慶応高(神奈川)の1番打者として107年ぶりの全国制覇に貢献した丸田湊斗外野手(1年)も、代打でリーグ戦デビューし、幸運な初安打を放った。

試合後の記者会見に、清原と丸田が顔をそろえた。まずは、清原が丸田を「基本的に無口で、すかしているタイプ」と評し“口撃”。「照れる性格なので、僕が冷やかしたりすると赤面する。かわいい子です」と続けた。

これに対し、慶応高時代に清原の弟・勝児内野手とチームメートだった丸田は「(清原の)第一印象は、本当に勝児に似ているということ。声とか笑い方とか、本当にそっくり。兄弟だからといって、こんなに似るものなのかと思いました」と述懐した。186センチ、90キロの兄に対し、弟の勝児は175センチ、80キロでひと回り小柄だが、チームメートだからこそ感じる共通点があるのだろう。

前日(13日)の東大1回戦に続いて2戦連続で4番に座った清原は、チームが1点先制した直後の初回無死一、三塁で第1打席を迎え、真ん中低めの球を“逆方向”の右前に運ぶタイムリーヒット。2点目をたたき出した。

今季2試合で打率.250(8打数2安打)、2打点1四球1死球。ヒットは2本ともタイムリーで、「(2安打が)両方打点につながったことがうれしいです。一番意識しているのが打点で、凡退であっても、相手にプレッシャーを与えたり、得点につながる打球を打てたら、僕は満足です」とうなずく。

父の和博氏も西武で4番を打っていた頃、個人タイトルには縁がなかったが、フォア・ザ・チームに徹し、リーグ優勝8回・日本一6回の原動力となった。父譲りの思考と言えるかもしれない。

丸田湊斗が神宮デビューも…昨夏甲子園決勝の5分の1以下の観客数

一方、丸田は昨夏の甲子園で打率.409(22打数9安打)と打ちまくり、仙台育英高(宮城)との決勝戦では初回先頭打者本塁打。さわやかなビジュアルにも注目が集まり、「美白王子」の異名を取った。

前日の開幕戦はスタンド観戦だったが、この日初めてベンチ入り。4点リードの8回、2死一塁の場面に代打で起用されると、カウント2-0から内角高めの速球に対し、止めたバットにボールが当たり、三塁手の前へボテボテの打球が転がった。俊足を飛ばして内野安打をもぎ取り、「手を出すべき球ではありませんでしたが、形はどうあれ、『H』ランプを点けることができたことは良かったと思います」と苦笑した。

“神宮デビュー”にも、「高校時代に甲子園で、あれだけお客さんが入った中でやった経験が生きて、緊張はあまりなかったと思います」と落ち着き払っている。

確かに、昨夏の甲子園決勝に4万2100人の大観衆が詰めかけたのに比べると、この日の東大戦の観客は5分の1にも満たない8000人。丸田にとっては、まだまだ静かなものだったのかもしれない。

慶大は昨秋優勝メンバーから4年生の主力がごっそり抜けたが、堀井哲也監督は「清原にしても丸田にしても、学年に関係なく、求心力というかチームを引っ張っていく力があると思う。そういう意味で、チームとしていいスタートを切れたと思います」と目を細めた。フレッシュな新4番とスター性抜群のルーキーが、新生慶大を牽引する。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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