ハルカミライ 橋本学×TETORA 上野羽有音、自由を重ねていく活動スタイル “武道館バンド”としてのリスペクト

ライブハウスを中心に各地のフェスでもアツいライブを展開し、思わず歌いたくなるメロディラインに乗せて、オリジナリティの高い歌詞と歌声を響かせる2バンド、ハルカミライとTETORA。リアルサウンドでは、すでに共演歴も多い両バンドのフロントマン・橋本学と上野羽有音による初対談が実現した。ハルカミライは昨年2回の日本武道館公演を成功させ、一方のTETORAも今年8月に初の日本武道館公演を控えており、“武道館バンド”の先輩・後輩でもある両者。互いへの第一印象から、ソングライティング/ライブへの向き合い方まで、たっぷりと語り合ってもらった。(編集部)

「初めて観たハルカミライのライブで大号泣した」(上野)

――TETORAは先日、上野さんのポリープ切除手術と療養に伴うライブ活動休止から復帰しました。まずはおかえりなさい。

橋本学(以下、橋本):そうだ。おつかれさま!

上野羽有音(以下、上野):ポリープがあったとき、学さんが漢方をくれたり、「これいいよ」っていろいろ教えてくれたりして。ありがとうございました。ポリープがなくなったら声が出しやすくて、ノーストレスですごくいいです。

――数カ月間ライブがないというのはTETORAにとって久しぶりのことだったと思いますが、いかがでしたか?

上野:「バンドやっててできひんかったこと、やっちゃえ」と思って、ピアノの練習をしたり、ひとり旅に行ったり、髪を派手な色に染めたりしてました(笑)。

橋本:高校生か!(笑)

上野:あはは(笑)。夏休みみたいなことをしてました。

――「歌いたい」とか「ライブしたい」とは思わずに?

上野:いや、それはめっちゃ思ってました。そもそもライブハウスに行くことも禁止されていたので、ライブできひんことより、そっちのほうがつらくて。

橋本:俺らの心斎橋でのライブを観にきてくれたのは、許可が降りてからだったんだ?

上野:はい。許可が降りた直後くらいでした。会うの、その日以来ですよね?

橋本:そうね。

――そもそもハルカミライとTETORAの交流はいつ頃始まったのでしょうか? バンドとしての最初の印象はどのようなものでしたか?

橋本:初対バンはたぶんレーベルイベントとかだよね。いつかは覚えていないけど。

上野:そうだと思います。でも対バンさせてもらう前に、ハルカミライのライブを観させてもらった記憶があって。一番印象に残ってるのは、対バンする前の梅田クアトロ(UMEDA CLUB QUATTRO)でのライブ。たぶんそれがメンバーと初めて一緒に観たハルカミライのライブやって、大号泣した記憶があります。19~20歳くらいだった怖いもの知らずの私が、対バンせずに「負けた」と思った。「こんなライブしはるんや!」って。

橋本:そうなんだ。初めて聞いた。対バンしたときに悔しがっている姿はよく見るけど、対バンする前にもそんなふうに思ってくれたんだ。

上野:曲が終わって、シーンってなる瞬間あるじゃないですか。そのときに、クアトロに私の「こんなん無理や」って声が響いていました(笑)。

橋本:あはは(笑)。俺は(上野の)声が特徴的なのが羨ましいなと思った。本人はもしかしたら悩んだりすることもあるのかもしれないけど。俺、モノマネされるアーティストってすごく得だなと思っていて。「あの人、こういうこと言うよね」って学生の友達同士でワーキャーされるっていうのは、バンドの一つのチャームポイントだと思うんだけど、羽有音ちゃんの声ってまさに真似したくなったり、コピーしたくなったりするじゃん。俺の声はモノマネしたいって思われにくいから、そこが羨ましいなって。

上野:嬉しい。

「素手でぶん殴ってくるみたいなステージに痺れる」(橋本)

――その後、共演したり親しくなっていったりする中で感じた、お互いのすごいなと思うところや敵わないなと思うところはありますか?

橋本:羽有音ちゃんは正直な人なので、ライブで全部言うんですよね。悔しくて泣いたこともそうだし、「勝てない」とか「超えられない」とか。でも、それをどうにかしてやろうっていう気持ちのときのステージがすごい。俺にはできねえなって思っちゃうっすね。俺は、もう「どうにかやろう」でうまくできる方法を見つけてしまったんですよ、敵わない先輩に対するうまいやり方や、可愛げのあるやり方みたいなものを。だけど羽有音ちゃんはそうじゃない。まっさらで、素手でぶん殴ってくるみたいな感じはいいなって思うし、そういうところに痺れる瞬間があります。

上野:逆に学さんはステージの外でめっちゃ素直なイメージです。ライブがよかったら「よかったよ」って言ってくれる。でもみんなに言うんじゃなくて、ほんまによかったときだけ言ってくれるタイプで。よくなかったんやろうなって思うときは「あ、お疲れ」だけみたいな(笑)。

橋本:バレてるんだな~(笑)。TETORAには今まで、2回「よかったよ」って言ったよね。

上野:はい。やから思ってることも伝わるし、「なるほど」って思う。そこがめっちゃ好きです。あとハルカミライはみんな、ステージ降りてからめっちゃ優しいです。

橋本:でも俺らには意地悪な部分もあって(笑)。俺らみんなTETORAを茶化すから、たぶんやりづらいんですよ(笑)。「ライブの一言目、何て言うの?」って(笑)。

上野:それをライブの5分前とかに言ってくるんですよ。

橋本:昔の自分たちを見ているようで、思わず茶化したくなるんですよね(笑)。

――ソングライターとしては、お互いのことをどう見ていますか?

上野:ハルカミライの歌詞は、学さんにしか書けへん歌詞やなと思います。みんなそうなんですけど……“ハルカミライ”にしか書けへんっていうか。「ハルカミライみたいになりたい」っていう人がバンドを組んでも、ハルカミライの歌詞は学さんにしか書けへんやろうなってめっちゃ思います。例えば「光インザファミリー」の〈匂いが音が君が〉のところとか、私やったら歌詞入れないで「ララララ~」にしちゃうと思うし。〈ポタポタしずく〉(「Tough to be a Hugh」)も、「どうやったらそんな歌詞書けるの?」って思います。歌詞も読みたくなるバンドです。

橋本:嬉しいな~。

上野:私は具体的に書いちゃうことが多いけど、ハルカミライは抽象的……でもないけど、核心の周りを書いてはるイメージというか。攻め方が違いますよね。

橋本:そうだね。この間、沖縄で一緒にアコースティックライブをしたんですよ。羽有音ちゃんは弾き語りで。アコギの音も綺麗だったし、音が少ない分、言葉がさらに入ってきて改めていい歌詞だなって思った。なんかさ、一途な感じがいいよね。浮ついてないっていうか。浮ついてなさは俺もラブソングを書くときはすごく気にする部分ではあって。

上野:ありがとうございます。自分では意識していなかったですけど。以前、浮気の曲を書きたくて、妄想で書いてみたことがあるんです。でもなんか、偽物の浮気な感じがしてボツになりました(笑)。

――先ほどハルカミライの歌詞について「核心の周りを書いている気がする」と言われているとき橋本さんは頷いていましたが、そこは意図的ですか?

橋本:意図的にやってますね。テーマはありますけど、テーマ通りの言葉は使わないとか。ずっと言っているのが「愛してる」っていうワードはあまり使いたくないということ。「愛してる」という言葉って、使われすぎて飽和している気がするんですよ。俺の中で「愛してるって何!?」ってなっちゃってるんですよね。だから「愛してる」を使わずに、その周りの言葉を探すというのは、ずっと自分のテーマになっているかもしれないです。

上野:逆に私の場合は「愛してる」とか「好き」とか入れちゃうタイプで。“それくらいしか言葉が出てこうへんくらい好き”っていうときに歌詞を書きたくなるので。

――浮気の歌詞は書けなかったくらいですもんね。

上野:はい。いつか書きたいですけど(笑)。

橋本:でも妄想で書けなかったってことは、浮気の曲ができたら、そのときはリアルに浮気してるっていうことじゃん(笑)。

上野 ほんまや!(笑) それか、めっちゃ嘘がうまくなってるか(笑)。

“武道館バンド”の先輩・後輩としての心境

――TETORAは今年8月に日本武道館でのワンマンライブを控えています。ハルカミライは昨年武道館ライブを2回開催していて、“武道館バンド”の先輩・後輩という形にもなる2組なので、武道館公演についても伺っていきたいと思います。

上野:武道館公演が決まったとき、TETORAのグループLINEに「武道館、決まりました」っていうメッセージがきたんですけど、全然驚かなかったんです。なんでかって言うと、その前に出たフェスでハルカミライと会ったときに、学さんから「TETORA、武道館やるらしいじゃん」と言われて(笑)。

橋本:そうそう。周りから「TETORAが武道館押さえたらしい」って聞いたから、本人に聞いたら「え、やるんですか?」って(笑)。

上野:お互いめっちゃ目泳ぎましたよね(笑)。

――武道館ワンマンを控えた今、上野さんはどのような心境ですか?

上野:緊張するんやろうなと思います。ハルカミライもそうやし、yonige、Hump Back、My Hair is Badと、先輩の武道館公演は全部観に行かせてもらっていたので、「次、私らがやらせてもらえるんや」って思うとめっちゃ緊張しちゃう。1曲目で歌詞飛ばすんやろうなとかも思いますけど(笑)、武道館のステージで(自分たちが)ライブをしているイメージはちゃんとあります。

橋本:「今までレジェンドたちがやってきた場所」とか「特別な場所でずっと憧れてた」とかではないんだ? 先輩たちのライブを観て「次は私や」みたいな感じなんだね。

上野:そうですね。TETORAのSEにしていたThe ピーズもやっていたし、もちろんいろんな人がやっている会場なのは知ってたけど、初めて武道館に観に行ったのはyonigeです。そのライブを観て、さらに「ここでやってみたい」と思うようになりました。

――「やってみたい」と思ったのはどうしてですか?

上野:デカいけど、なんか変な空気があって。客席が壁みたいやし、ステージの上に日の丸があるけど、なんかちょっとライブハウスっぽい感じもあって……っていうのが観る側の印象なんですけど、やってる側はどうなんですか?

橋本:確かに壁みたいなものは感じるかも。ステージと客席の間に何かがある。それは「今までライブをいっぱいやって培ってきているものがあるから大丈夫っしょ」っていう自信がどうにかしてくれると思うんだけど。でも確かに何かがある。俺たちで言えば、武道館に対する憧れってあんまりなくて。だけど「なんかすごいんでしょ」みたいなものがなんとなくあったのね。それで「じゃあ頑張らなきゃ」ってスタジオに入るじゃん。そしたら、スタジオに入れば入るほど、武道館への何かが溜まっていくんだよね。武道館は何も変わってないのに、自分たちがどんどん変わっていく。

上野:へぇ!

橋本:それが武道館を特別な場所にさせてんじゃんって思った。だから2回目のときは「余裕っしょ。いつも通りやればいいんじゃね?」って感じだった。

上野:ステージで寝転がってはりましたもんね(笑)。

――橋本さんは、TETORAの武道館公演にはどんなことを期待しますか?

橋本:えー。一言目、なんて言う?(笑)

上野:いつものライブ前のやつや(笑)。

橋本:一つあるとしたら、存分に家族を喜ばせてほしいってことかな。こういう場所では家族が一番喜んでくれるから。

上野:確かに。ライブハウスのことは知らんかもしれんけど、武道館は知ってますもんね。

橋本:そうそう。

上野:武道館を発表してすぐくらいに、お母さんとお兄ちゃんから「最速先行でチケット買ったよ」って連絡がきました。もしかしたら最前とかにいるかもしれない(笑)。

橋本:あはは(笑)。当日はちゃんとスタッフに伝えて、終わったあと、裏に連れてきてもらってね。

上野:はい!

サブスクや同世代バンドとの距離感

――ちなみにTETORAは「インディーズで武道館」という目標を掲げていましたが、“インディーズ”であることにも何かこだわりがあるのでしょうか?

上野:いや、メジャーに行きたくないとか、ずっとインディーズがいいとか、そういうことでは全然なくて。ただ、ちょっと他のバンドと違うことがしたいなと思っていて。インディーズで武道館に立つバンドってあんまりいないから、やりたいなっていうくらいです。

――こだわりと言うと、TETORAはサブスクや配信は解禁せず、音源はCDのみでリリースしています。ハルカミライもインディーズ時代はサブスクや配信をしていませんでした。お二人はデジタルリリースについてはどのように考えていますか?

橋本:自分が10代とか20歳過ぎたくらいのときって、金がなくてCDを全然買ってなかったんですよ。むしろ今のほうが買ってる。サブスクで聴けないアーティストもいっぱいいるし。そういう時代を生きている20歳前後の子からしたら、インプットするにはサブスクはすごくいいものだと思っていて。CDからサブスクに世間が切り替わるタイミングって、“CDこそ正義”みたいな風潮があったと思うんですけど、金ないやつもサブスクだったら聴けるし、5年後、10年後もずっと好きだったらそのとき買えばいいんじゃね? くらいに思っていますね。別にそれがCDを大切にしていないというわけではないと思うし。

上野:私は、サブスクのサービスが始まった頃は「もし自分が音源を出せるようになったら、サブスクは解禁してもしなくてもどっちでもいいや」と思っていたんですけど、いざ自分がサブスクを利用し始めたら、「そこにいたくない」って思うようになって。メンヘラみたいやけど、「私らだけは特別な存在でいさせてほしい」みたいな気持ちになった。でも、だからといって一生その気持ちかどうかはわからない。今はそう思っているけど、一生やりたくないとも思っていないし、サブスク解禁したからってバンドが変わるわけでもない。甲本ヒロトさんのバンド(ザ・クロマニヨンズや↑THE HIGH-LOWS↓)がサブスク始めたら、TETORAも始めようかなくらいの軽い気持ちです(笑)。

――サブスクを解禁していないがゆえの特別感みたいなものは、ファンの方が抱いているものでもあったりしますよね。

上野:はい。だから私たちの気持ちを汲んでCDを買ってくれる人たちがいることはすごくありがたいです。それこそ絶対金ないやろうに、バイトめっちゃ頑張ってたり、お年玉を貯めてくれたりしているわけで。それもわかった上で、今はまだ特別でいさせてほしいです。

――お二人は、仲の良いバンドやライブの共演者以外に、同世代のアーティストの音楽は聴いたり、意識したりしますか?

橋本:リリースされたら聴きますよ。俺、音楽ナタリーとハライチ 岩井(勇気)さんだけをフォローしているXのアカウントがあって(笑)。それを時々見て、「誰々がどこでライブやるんだ」とか「新曲リリースするんだ」とかはチェックしています。けどリリースに関しては勝負事だと思っていないんで、単純に気になったら聴いて、よかったら「うわ、超いいじゃん!」だし、そんなにハマらなければ1~2回聴いて終わりっていうくらい。

編集担当:これを機にリアルサウンドのフォローもぜひ宜しくお願いします(笑)。

橋本:はい!(笑)

――最近気になっているアーティストがいたら教えてください。

橋本:俺、基本的にずっとディズニーランドのBGMを聴いているんですよ。40周年のアルバム(『ベスト・オブ・東京ディズニーリゾート®・ミュージック ~リメンバー・40thアニバーサリー~』)とか、めっちゃよくて。

上野:確かに、学さんに「今度初めてディズニーランド行くんです」って話したときに「パレードだけは絶対に観たほうがいい」って言われました。

橋本:曲がいいんだよな~。実際、ディズニーに行って、流れている曲を聴いて「このビートカッコいい!」とか「このキックいい」と思ったらボイスメモを開いて、「ドッタ、ドッタ」って自分の声で残しておいたりするんですよ。

上野:へぇ、すごい!

橋本:やっぱり大人も子供も楽しめる音楽ってすごいなって思う。

――仲の良いバンド以外の同世代のバンドの活躍は気になったりしますか?

上野:フェスの出演者とかを見て「このバンドは出てるのに、私ら呼ばれへんやん」とかはたまに強く思います。音源はあまり掘り下げないかも。対バンしてライブを観てから、もっとさらに深く掘っていくぐらいしかしてないです。

橋本:俺は「こいつらのワンマン、女優とかモデルとか観にきてんのかな」とかは思ったりしますね(笑)。そいつらはそいつらの道だし、俺らは俺らの道だしって考えなんですけど、「女優とかモデルがライブに来てるかも」(本人の勝手な想像)っていうのは嫉妬して横目に見てます(笑)。

積み重ねた先で両バンドがたどり着く場所

――「俺らは俺らの道」という言葉もありましたが、ハルカミライは現状、大きな会場でワンマンを開催できる一方で先輩や仲間のツアーにも呼ばれるなど、ライブバンドとしての地位を確立しているように思います。この先のバンドの行方はどのように考えているのでしょうか?

橋本:全然決めていないです。いい形でやっていけたらいいなっていうくらい。ある先輩に言われたことがあるんですよ、「調子がいいときもあれば悪いときもあるし、登り下りは絶対にあるから。ただ、今ライブシーンで残っているバンドたちって、8割くらいのやつが1回下がってる。そこからまた上がってきたやつらが残っている」って。だから自分たちにもそういうときがくるんだろうなとはボヤッと思っていますけど、その状況に合わせてやっていけばいいんじゃねえかなと思っています。

――今、「ここを目指している」とか「こういう存在になっていきたい」というものはない?

橋本:そうですね。ただ俺個人では、カッコいい先輩たちとずっと仲良くしていたいなと思っています。一目置かれていたいというか。「こいつら、やべえよな」ってずっと思われていたい。例えばバンド主催のフェスで、セールスはあんまり多くないけど、主催バンドとの関係性があって出ているバンドってカッコいいじゃないですか。それが一目置かれていることだって思う。だからそこが目標ですね。バンドの人気が落ちたとしても「お前らはイカしてるからここにいろよ」って言われるようなバンドになりたいです。

――TETORAは「インディーズで武道館」という一つの目標がもうすぐ叶うわけですが、その先は現時点で何か考えているものはありますか?

上野:どうなるんでしょうね。いい意味ですごく自由だなと思っていて。メジャーを目指すのも一つやし、インディーズでずっとやるのも一つやし、それとは関係なくライブハウスでさらにかっこいいライブができるバンドになりたいし。今のところは「これをやりたいです」というのはないです。

橋本:TETORAも俺らもたぶん、「うわ、ここでやってみたい!」とか「これに出たいかも」とか、そういうものを一つずつ積み重ねてきただけなんですよね。「ここに行きたい」と思ったところで、そこに行くための正確なマップがあるわけじゃない。その都度その都度、「武道館やってみたいね」とか「あのフェス、出たいな。呼ばれたいな」を重ねていった先に、どこかにたどり着いているのかもしれない。そういう感じなんじゃないかな。

上野:確かに。そうやっていろいろ重ねて、バンドとして分厚く、深くなっていきたいなと思います。

橋本:なんかさ、一緒にライブやって、打ち上げして、2次会や3次会に行く人は行って、帰る人は帰って、次会ったときに「あのとき楽しかったね」って話をする。それだけでいいし、それが面白いよね。

上野:はい。打ち上げでも、いつもふざけたことばっかり喋ってたから、初めて学さんと“バンド”の話をできた気がしました。

橋本:たまにはいいね。

上野:はい、嬉しかったです。

橋本:TETORAみたいな純度100%のバンドの尖りって最高にカッコいいものだと思っているんだけど、その尖りの中には、“尖ろうと思って尖っちゃった”みたいなものも混ざっていると思っていて。俺がそうだったから。でも歳を取るにつれて、そういうものはどんどんなくなっていって、純度の高い尖りだけが残っていく。そうなっていくTETORAをこれから見られるのが楽しみだな。

上野:頑張ります。武道館も観にきてくださいね。

橋本:うん。もうバンドのスケジュールに入れてあるよ!

上野:本当ですか!? 頑張ります!

(取材=小林千絵)

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