大卒ルーキーのリアル。横浜FCの橋本丈は堅忍不抜の志で走り続ける。メンバーに絡めずも心は折れていない「ピッチに立ちたいって強く思う」

3バックの左、ボランチ、シャドー。横浜FCのある日のトレーニングで、大卒ルーキーの橋本丈は複数のポジションでプレーしていた。

「どこでも、ある程度はできますし、やらなければいけない」と、22歳のレフティは言う。ユーティリティ性は1つの強みだが、逆に言えば、どのポジションで勝負するかはまだ定まっていない。左ウイングバックを含め、模索している状況だ。

開幕から1か月以上が過ぎたが、デビューはおろかメンバーにもまだ入れていない。「想像していた以上に厳しい世界」でもがいている。

だからといって、心が折れているわけではない。むしろ、意欲を燃やしている。

「やっぱり試合に出たいって気持ちが、どんどんわいてくる。三ツ沢の雰囲気やサポーターの応援とか、あのなかでプレーしたい。ホームの試合では(スタンドの)上から見るんですけど、あのピッチに立ちたいって強く思う。その気持ちがあるから頑張れています」

【PHOTO】ホームでの勝利に歓喜した横浜FCサポーター(Part1)
同期の存在も支えになっている。

「同じ大学(関東学院大)から5人がプロに行って、今のところ1人もメンバーに入れていない。連絡とか取っていても、『厳しい世界だね』みたいな話はするんですけど、“先にピッチに立ちたい、メンバーに入りたい”って気持ちが、たぶんそれぞれにあって、それが良い刺激になっていると思う。負けないように頑張りたい」

穏やかな口調だが、その言葉に力がこもる。試合に絡めなくても、高いモチベーションで練習に取り組めている。J1復帰を目ざす横浜FCで存在感を示せるか。堅忍不抜。揺るぎない決意で、これからも走り続ける。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

© 日本スポーツ企画出版社