オープンAI、英米で企業向けに商品宣伝 MSと利益相反も

Krystal Hu

[12日 ロイター] - 生成人工知能(AI)「チャットGPT」を手がける米新興企業オープンAIが今月、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドンの3都市で大企業の経営幹部、計数百人を招待する会合を開き、企業向けのAIサービスを売り込んだことが、出席者らの話で分かった。同社が新たな収益源として企業に狙いを定めていることがうかがえるが、筆頭株主にして最大の提携相手であるマイクロソフトの牙城に挑むことにもなりかねない。

会合では、サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)やブラッド・ライトキャップ最高執行責任者(COO)が自ら、「フォーチュン500」(米フォーチュン誌による売上高上位500社)に名を連ねる金融、医療、エネルギー業界などの幹部に向け、企業向けサービスの「チャットGPTエンタープライズ」を含む商品を紹介。このサービスでは、顧客データがAIモデルの訓練に使われることはないと約束した。

ただ一部の出席者からは、既に米マイクロソフトの法人顧客になっているのに別途チャットGPTエンタープライズに料金を支払う意味があるのか、と疑問の声が上がった。マイクロソフトのクラウドサービス「アジュール」や、「コパイロット」(Copilot Microsoft 365用)にはオープンAIの技術が組み込まれているためだ。

これに対してアルトマン氏らは、オープンAIのチームと直接協力できることや、最新モデルにアクセスできるなどの利点を挙げたという。

会合ではこのほか、顧客アプリケーションをAIサービスに接続するソフトウエアであるAPI、テキスト指示で動画を作成する「Sora」などを宣伝した。

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