米銀の第1四半期決算、利益見通し不透明 金利動向読みづらく

[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米主要銀行の第1・四半期決算では、米金利の行方が不透明なことから利益見通しを立てづらく、一部銀行は年末にかけて慎重な姿勢で臨んでいることが明らかになった。

米連邦準備理事会(FRB)が2022年3月から積極的な利上げを実施したことで、銀行は純金利収入(NII)が拡大して大きな利益を得られた。

しかしその効果が衰えてきたと同時に、3月の消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったため利下げ開始時期が不透明になっている。

ウェルズ・ファーゴのマイケル・サントマッシモ最高財務責任者(CFO)は「このごろはNIIを予想するのが非常に難しい。さまざまなデータのぶれが激しい上、顧客が今後どう行動するか不透明な面があるからだ」と語った。

同行は第1・四半期のNIIが8%減少した。顧客がより利回りの高い預金性商品に流れるなどして資金調達コストが上がったことと、融資残高が減ったことが背景。同行は12日、今年のNIIは7―9%低下する可能性があるとの見通しを改めて示した。

JPモルガン・チェースも金利動向を予想する難しさを指摘した。ジェレミー・バーナムCFOは決算発表後のアナリスト電話会議で、現在の収益見通しは昨年第4・四半期時点とほとんど変わっていないが、「少し古くなりかけている現在のイールドカーブ」に基づいた見通しだと注意を促した。

同行のNIIは11%も増加したが、通年の金利収入はアナリスト予想を下回るとの見通しを示した。ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)はアナリスト電話会議で、金利とイールドカーブを予想しづらいとし、業績予想には「幅を持たせる必要がある」と指摘した。

シティグループのNIIは1%増加した。マーク・メイソンCFOは電話会議で、予想される年内の利下げ回数が少なくなったことで、業績見通しに「大きな影響はない」と述べた。

T・ロウ・プライスの投資アナリスト、テディー・オークス氏は、NIIが以前の予想より増えることは既に織り込まれているため、銀行が今の段階で楽観的過ぎる見通しを示すメリットはないと解説した。

© ロイター