『光る君へ』「心と体は裏腹」な寧子の教え 財前直見が“プロデューサー”としての視点を語る

吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー動画「君かたり」が公開されている。第15回「おごれる者たち」の放送後には、ききょう役のファーストサマーウイカ、源雅信役の益岡徹、そして藤原寧子役の財前直見が登場した。

第15回では、道長(柄本佑)の兄・道隆(井浦新)が強引に娘・定子(高畑充希)を中宮にしたり、息子・伊周(三浦翔平)らに身内びいきの人事を行ったりと独裁に拍車がかかる。そんな中、ききょうが定子の女房として働くことになった。一方、まひろ(吉高由里子)はさわ(野村麻純)とともに出かけた近江の石山寺で藤原寧子と出会う。

劇中、ききょうは初めて対面した定子に見惚れ、うっとりした表情を見せる。ききょうと定子の対面シーンは、喜びや興奮がすべて表に出てしまうききょうの素直さが存分に伝わる魅力的な場面となった。定子から「清少納言」と名を与えられる場面で、ききょうは顔をわなわなさせて感動を味わっていた。ファーストサマーウイカは新たな名を受け入れたききょうの心情について「『あなたの今までの人生を背負って、学んだものとかをすべて持ってきて、宮中で私の力になってね』って言われたような気がして、『あぁ、清少納言……いいっすね!』って」「全部を認めてくれたような器みたいなものを名前から感じて『いい名前だな』と思っていたんじゃないかなって」とコメント。また定子については、“推し”の感覚に近いのではないかと自身の考えを述べており、「『尊い』『一挙手一投足がいとおしい』『愛くるしい』」「娘でもなく恋人でもなく、けど命を懸けてお守りしたい」といったききょうの感情を語っている。

SNSでは定子と出会ったききょうの反応が話題に。「ききょうさん、定子様と出会い、まさに一目惚れ。ここから枕草子が生まれていくのね。推し一択なところがオタク女っぽくて良い」「定子さまを綺麗と見惚れるききょうさま、 推し愛全開でとても綺麗だった。画面がキラキラであふれかえってた」などのコメントがあがっていた。

ききょうが定子と衝撃的な出会いを果たす中、まひろも自身が愛読していた『蜻蛉日記』の著者である藤原寧子と出会う。

藤原寧子を演じる財前直見は、寧子について「一人息子(道綱)に甘い親、ひとことで言えば」と笑いながらも、妾である自身の立場を重く捉えすぎることのない寧子について「こういう環境の自分を表現するっていうプロデューサー的な目もあったんじゃないかなとは思います」と話した。

兼家(段田安則)との関係については、「歌のために必要な人だった」「歌を書くことで兼家さんという存在が必要だった」といった先述したプロデューサー的な視点について語りつつ、「ふだん兼家さんが見せないことを、たぶん寧子の前ではしていたんだろうし」と兼家にとって安らげる場所になることを意識していたことや「見ている人もちょっとフフってほほえましくなるっていうシーンになったらいいなと思って演じていました」とのコメントを残した。

SNSでは寧子とまひろの出会いについて「寧子さんの言う『書くことで悲しみを癒す』はこれからのまひろの魂のコアになりそう」「まひろも憧れの作家・藤原寧子さまの話に感化されてこれから物語を作る筋書きになってるんだろうなってシーンも面白かった」などの声があがっていた。

『蜻蛉日記』を綴った寧子は「心と体は裏腹」と語る。『光る君へ』では、寧子のもとで過ごす兼家の穏やかな表情が描かれてきた。寧子と兼家の関係、寧子がまひろたちに伝えた「妾はつろうございますから、できることなら嫡妻になられませ」という言葉、そして寧子を演じた財前の言葉から、『蜻蛉日記』は妾の悲哀を描いたものでもあるが、寧子と兼家の愛に満ちた日々を描いたものでもある、と解釈できる。今後、ききょうとまひろはともに千年を超えて読み継がれる文学作品を作り出す。『光る君へ』の物語は、『枕草子』と『源氏物語』にも、新たな視点、新たな解釈を与えてくれるのではないだろうか。

(文=片山香帆)

© 株式会社blueprint