女子ゴルフの勢力図を大きく変えた朴セリ 引退後の今は何してる?

(撮影:GettyImages)

「ファーヒルズ朴セリ選手権」の初日。多くの韓国人選手が戦う姿を眺め、「きょうは私の“夢”がかなった日」と満面の笑みを浮かべた。「いつか自分の名前の付いた大会を持ちたいと思っていた。なぜか現役の時からずっと。それがこのLPGAツアーで実現したのは信じられない」と感無量だった。

1998年、朴セリ(韓国)が女子ゴルフの世界を大きく変えた。5月に「全米女子プロ」でメジャー初制覇。7月には「全米女子オープン」を20ホールのプレーオフの末、勝利。この偉業が韓国女子ゴルフに大きな火を付けた。「セリに続け」と多くの選手が渡米し、米ツアーを席巻。「なぜそんなに韓国人が強いの? と何度も聞かれているけど、私の答えは『分からない』といつも同じ(笑)。ただ私のあのプレーオフの戦いが、『どんな逆境に立っても諦めない』という韓国人の心に大きく響いたのかもしれない」と振り返った。

2016年シーズンをもって18年間戦った米ツアーから引退。韓国へ戻り「始めの2年間は人生のブレイク。何もしないでこれから自分がやりたいことを考えていた」。2年の休息を経て決意したのは「ジュニア育成」に心血を注ぐこと。「朴セリ・ジュニア・ファンデーション」を設立し、「ゴルフへのアクセスを容易にすること」を目標に掲げ、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)と協力した「アニカ・セリ・ジュニアトーナメント」や、米国ジュニアゴルフ協会での大会も開催している。

もちろん韓国ゴルフツアーの発展にも尽力。TVコメンテーターを務め、スポンサーとの交渉にも積極的に取り組む日々は「本当に忙しい。ずっと韓国語を話しているから英語で話すのは久しぶり。緊張するわ」というほどだ。

女子ゴルフの“レジェンド”と呼ばれることには「まだ慣れない」というが、選手の冠大会は、故アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラス、タイガー・ウッズ(いずれも米国)、そして女子ではソレンスタム、朴という豪華な顔ぶれが並ぶ。

実現するのに2年を要した。「日程調整、コースとの折衝、スポンサーとの交渉はまるでビジネスウーマン。でも今の私にはとても新鮮。韓国勢だけでなくたくさんのアジア勢の活躍を本当に誇りに思う」と笑みを絶やさなかった。(文・武川玲子=米国在住)

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