スポーツ用品市場に関する調査を実施(2024年)~2023年のスポーツ用品国内市場規模(国内出荷金額ベース)は前年比100.2%の1兆6,493億1,000万円の見込、アウトドアレジャー系分野のコロナ禍を契機とした成長終焉の一方、その他分野の回復が続いており、横ばいに近い微増見込~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のスポーツ用品市場を調査し、製品分野別の市場動向や参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2023年のスポーツ用品国内市場規模(国内出荷金額ベース)は前年比100.2%の1兆6,493億1,000万円になると見込む。

2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大により冷え込んだスポーツ用品市場を支える存在となってきたゴルフ、アウトドア、サイクルスポーツ、釣りといったアウトドアレジャー系分野については、新規参加者数が落ち着いて需要が低減した。また、コロナ禍の需要拡大に伴い、参入メーカー各社が生産量を増やしていたことから2023年には供給過多となり、販売単価が下落するとともにメーカーの発注数も減少したことで苦戦となった。

一方で、スポーツシューズなど、特定のオケージョンでの使用を想定していないアイテムの多い分野や競技系分野などはコロナ禍で不振に陥っていたが、コロナ禍の影響低下とともに需要回復が進み2022年を上回る分野が多くなった。

このように分野ごとの好不調が見られる中で、2023年は市場全体としては横ばいに近い微増推移を見込む。

2.注目トピック~コロナ禍前との比較では、変わらずアウトドアレジャー系分野が成長に寄与~

2023年のスポーツ用品国内市場規模を前年と比較した場合はアウトドアレジャー系分野が苦戦となるが、コロナ禍からの数年単位での成長という観点で見ると、大きく違った見え方となる。2023年のスポーツ用品国内市場規模全体はコロナ禍前の2019年から781億5,000万円の成長を果たすと見込むが、アウトドアレジャー系分野の成長による部分が大きい。一方、競技系分野は「サッカー・フットサル」と「バドミントン」が「コロナ禍前越え」となっているものの、大半の分野は依然としてコロナ禍前の水準には戻っていないとみる。また、特定のオケージョンを想定しないアイテムの多い分野についても、「スポーツシューズ」はコロナ禍前を超えているものの、「アスレチックウエア」はまだ下回ると見込む。

つまり、「コロナ禍前からの成長」という観点では、コロナ禍におけるアウトドアレジャー系分野の成長分がまだ大きな効果をもたらしているといえる。それだけコロナ禍におけるアウトドアレジャー系分野の成長幅が大きかった。

3.将来展望

2024年のスポーツ用品国内市場規模(国内出荷金額ベース)は前年比103.0%の1兆6,984億4,000万円と予測する。

全17分野のうち、「ラグビー」と「スキー・スノーボード」を除く15分野が2023年からプラス成長を予測する。ただし、2023年と比較しても少子化がさらに進むことに加え、コロナ禍からの回復という過去3年間と同様の成長要因が2023年中にはほぼ無くなると考えられる。インバウンド需要の回復と、メーカー各社の上代値上げが市場底上げ要因になり得るが、その他の成長要因に乏しく、市場の成長の先行きは不透明である。

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