【葬儀のマナー】香典の金額の相場は?香典辞退と言われたらどうする?50代から心得ておきたい冠婚葬祭のマナー

香典の金額はいつも悩ましいもの。いくら包めばいいのでしょう。香典辞退という案内が来たけど本当に不要なの? 香典袋にお金を入れ忘れてしまったら?など、香典にまつわる4つの質問にお答えします。現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんにお話を伺いました。

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香典の目安は

雑誌「ゆうゆう」の読者アンケートでは、親戚への香典の金額は、1万円と答えた人が最も多く、続いて3万円、5万円、2万円、という結果になりました。

50代以降になると、不祝儀の出費が多くなるものです。

岩下さんは、「香典の相場を気にする人が多いのですが、そもそも冠婚葬祭に相場はありません」といいます。

香典は相互扶助の精神から生まれたものなので、近隣なら2000円とか3000円、親戚なら1万円でも5000円でも包める額でいいのです。香典の目安は故人との関係によって変わってきます。

もし、少ない額でどうしても気が引けるなら、お返しはいりませんと一言書き添えてはいかがでしょう。

また、お返しに関しても困っている人が多く、お返しの制度がなくなればいいという人も少なくないようです。岩下さんも「返礼拝辞」と書いて香典を渡すようにしているそうです。

以前、高額なお香典をいただいた方へは同額を包むべき?

以前、家族が亡くなったときに高額な香典をいただいたことのある方には、同額を包むべきなのでしょうか?

香典の金額は、先方から以前にいただいた金額がいちばんの基準になります。

冠婚葬祭でいただいた金額はノートに控えておきましょう。冠婚葬祭ノートに記載しておいた金額を調べて、5000円だったら5000円、1万円だったら1万円ということです。

ただ、そこまで高額な香典はちょっと無理、というケースもあるでしょう。そんなときは、できる範囲の金額を包みましょう。どうしても「少なくて気がひける」と思うときは、「返礼拝辞」ときちんと書いて同封し、返せばいいのです。

香典辞退という案内が来たら?

「香典辞退」という案内が来ることがあります。本当に香典は不要なのでしょうか?

香典を辞退するというのは、おそらく家族の気持ちか、故人の遺志で決めたことでしょう。その思いをくんで、香典は控えるのが思いやりです。

香典は辞退するけれど、通夜や葬儀には参列してほしいということならば、当日はお焼香だけに伺いましょう。

どうしても気持ちを伝えたいと思ったら、後日、線香や花を届けるといいのではないでしょうか。

香典袋にお金を入れ忘れてしまったら?

香典袋にお金を入れ忘れるのはよくあることだそうです。その場で確認するのがいちばんですが、受付では中包みまで開けて確認しないことが多いものですよね。

こうしたときのためにも、中包みにきちんと名前、連絡先、金額などを書くことが大切なのです。

通夜や葬儀から帰宅して、お金を入れ忘れたことに気づいた場合は、迷わずに先方に連絡しましょう。再度持参するか、現金書留で送ってもいいでしょう。

※この記事は『50代からの冠婚葬祭きちんとマナー』岩下宣子監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年8月16日に配信した記事を再編集しています。


監修者
現代礼法研究所主宰 岩下宣子

共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。

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