高輪築堤の保存に向け「羽田空港アクセス線」計画が一部変更 下り勾配開始地点を品川方に100メートルずらす

工事計画略図(画像:JR東日本)

JR東日本は15日、2031年開業を目指す羽田空港アクセス線(仮称)の試掘調査で発見された高輪築堤について、一部を現地保存し、支障する範囲の遺構については記録保存調査を行うことを発表した。これに伴い羽田空港アクセス線(仮称)の計画に一部変更が生じる。

高輪築堤は1872年の鉄道開業の際、海上に線路を敷設するために築かれた鉄道構造物。田町駅~品川駅付近に造られたが、後に埋め立てられた。2019年に品川駅改良工事で高輪築堤と思しき石垣の一部が発見されていた。

田町駅周辺では、2022年7月から2023年6月にかけて実施された試掘調査で、高輪築堤と思われる石積の一部が新たに発見された。これを受け、2023年8月から高輪築堤調査・保存等検討委員会(委員会)が開催され、遺構への影響軽減や調査・保存の方針について検討が進められてきた。

JR東日本は羽田空港アクセス線(仮称)の下り勾配の開始地点を約100メートル品川方にずらすことで、東海道線の線路下に存在すると想定される高輪築堤の一部を現状のまま保存する。支障する範囲の遺構は記録保存とし、工事を進めながら港区教育委員会と連携、各分野の知見に基づき慎重かつ丁寧な調査を進める。

羽田空港アクセス線(仮称)については、線路縦断線形の計画変更を行うため、環境影響評価手続きや工事計画の変更手続きを国や東京都などと連携して進めていく。

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