<南風>『シマとの対話』

 9年前から、『シマとの対話』というテーマで表現活動を行っている。写真とコトバのコラボレーションで、対話でもある。写真は五島列島出身の私、文章は小浜島出身の南島詩人・平田大一さんが担当し、書き下ろしの作品を発表する大切な場となっている。

 連載開始当初の1年間は週1ペースで新作の発表を続けた。平田さんは舞台演出などさまざまな創作活動や講演で多忙を極める人物で、ご存じの方も多いかと思う。

 コトバの原稿は、ある時は各地の飛行場からだったり、滞在先からFAXで届いたりすることもあった。全身全霊を込めたメッセージは、時に自分との対話のようでもある。締め切りギリギリまで葛藤し、その直前に届くこともあるので、どのような原稿内容になるのかは分からない。

 心のままに撮った写真と文章が一致していく瞬間がとてもスリリングである。“奇跡的な創作作品”と言っても過言ではない。

 最初の1年分がまとまり、『シマとの対話』は、出版社のボーダーインクから本として刊行された。

 開始から3年目、平田さんが県の要職に就いたので、この創作活動は一時中断することになるのだが、任期終了後の昨年4月から、再び連載となった。

 空白の時間を埋めるかのように、さまざまな出来事に挑み続けてきたエピソードが描写されている。毎月1日と15日が掲載予定日で、以前同様ハイペースに新作が生まれている。

 そして、連載再開から丸1年がたった。現在、平田大一公式ブログ(<a href="http://hiratadaiichi.ti-da.net">http://hiratadaiichi.ti-da.net)にて公開中であり、また、より多くの方にもご覧いただけるよう、新しく書籍化することになりそうだ。写真展も、今後、恩納村博物館などで開催予定であるので、ぜひご覧いただきたい。

(桑村ヒロシ、写真家)

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