井上尚弥にリスペクト欠く悪童ネリへ、母国識者が批判「なぜ軽視してはいけないと分からない?」

ルイス・ネリ【写真:中戸川知世】

米メディアのインタビューで言いたい放題

ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は5月6日、東京ドームで元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦を行う。日本ファンには“悪童”の印象も強いネリは、3月の会見では優等生ぶりが目立ったものの、米メディアのインタビューではすっかり大口を叩く元の姿に。井上へのリスペクトに欠ける言葉に、母国メキシコの識者は「なぜ、ライバルを軽視してはいけないとわからないのだろう」と批判している。

今月、米専門メディア「ボクシングシーン.com」がネリのインタビューを公開。井上について「とても優れたボクサー」などと話しつつも、「彼は過大評価されていると思う。彼は平凡なボクサーだと思うし、少なくとも私にはそう見える」「早く終わらせたい。コンディションが整っていて、より強く、より速く、そして賢く、ハードなパンチを繰り出すネリの姿が見られるだろう」などと発言していた。

ネリは2017年8月の山中慎介戦の薬物検査で陽性反応が出た。18年3月の再戦は大幅な体重超過でWBC世界バンタム級王座を剥奪。ともに勝利したが、日本ボクシングコミッション(JBC)から国内のライセンス無期限停止処分を受けた。海外でリング復帰し、20年9月にスーパーバンタム級で世界2階級制覇。今年2月、ネリ陣営はJBCに謝罪と資格回復を求める書面を提出。規定に基づき、処分が解除されている。

今月10日の公開練習で井上はネリのインタビューについて問われると「そっちのネリが本物ですよね。この間のは何だったのか」と呆れた様子。3月の対戦発表会見では「再び日本の地を踏めて嬉しい。申し訳なかったと謝りたい」と過去の過ちを謝罪し、会場にいた山中慎介氏とも握手で和解するなど、人が変わったような優等生ぶりを見せていたが、結局変わっていなかった。

メキシコの「アステカTV」のコメンテーターでボクシングアナリストのエドゥアルド・ラマソン氏は自身のX(旧ツイッター)で「再び。パンテーラ(ネリの愛称)はイノウエは過大評価されていると語る」とこのインタビューに注目。「なぜボクサーたちは、ライバルを軽視してはいけないとわからないのだろう。つまり、もし負けたら大したことない相手に負けたことになるし、勝っても得られるものは少ない」とネリの発言を批判している。

メキシコファンもラマソン氏に同調「相手を軽視するといつも負ける」

母国メキシコのファンもラマソン氏の意見に同調する声が多く、「確かに!! 対戦相手を褒め、より尊重すればするほど勝利の価値は上がる!!!!」「悪い合図。ボクサーか相手を軽視するといつも負ける」「パンテーラのやることは狂ってるよ……」「こんなことを言うなんて……もう負けたようなもんだよ!」などと意見が寄せられた。

パウンド・フォー・パウンドでも最強候補に挙がる井上にとの対戦だけに「サイクロン・イノウエの前ではパンテーラは猫みたいだ」「イノウエが手足を怪我して、風邪をひいて、手を縛られないとネリは勝てないよ……」「ノックアウトされると思うよ」「イノウエのこれまでの戦績を知っているなら、そんなことは言えない」などと怖いもの知らずなネリのコメントに驚く意見もあった。

一方で「ドン・ラマ(ラマソン氏)は悲観主義ではないが、パンテーラはかなりいい状態で臨むだろう。怪物はボクサーとしての全てを兼ね備えていてパンテーラを軽視しているわけではない。私たちを黙らせるくらいやってほしい」「コメントによるとネリの準備は過去最高らしい、つまり相手を軽視しているわけではないから、余計な話はやめよう」とネリの勝機を指摘する声もあるが、「メキシコ人がこんなことを言うなんて珍しい。個人的にはチャベス、マルケス、最近ではピットブル・クルスのようなリング上で語るボクサーのほうが好きだ」とリング外の余計な言葉は不要とする声もあった。

THE ANSWER編集部

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