日韓線に就航する飛行機は多い。LCC(ローコストキャリア、格安航空会社)が多い路線でもある。9社が就航している。日系LCCが3社、他は韓国系LCCという構成だ。
飛行時間は2時間半ほど。長い距離のLCCを敬遠する人も、韓国線では利用することが多い。それだけ気軽なフライトということなのだろう。
サービスをできる限り省略し、その費用を運賃に還元していく。それがLCCの発想でもある。多くの人が、フルサービスの航空会社のようなサービスを期待してはいない。となると、運賃と就航時間帯が便を選択するための条件ということになる。
■日本と韓国を結ぶ航空会社、よく利用する人はどのLCCに乗ることが多い?
仕事や個人的な事情で、月に1回はLCCで日韓路線を利用する知人が何人かいる。いったいどのLCCに乗っているのか。訊いてみると、こんな答えが返ってきた。
「結局エアソウルってことが多いんですよ。いちばん安いわけではないけど、いろいろ考えると、エアソウルの利用回数が多くなるんです」
その感覚は僕もわかる。いろいろ悩んで結局はエアソウルになってしまう。
エアソウル──。アシアナ航空系のLCCである。なぜなのだろうか。
そこで航空券の検索サイトを調べてみた。チェックしたのは4月13日である。ゴールデンウイークが終わった週末で調べてみた。5月25日(土曜日)の東京発ソウル、5月26日(日曜日)のソウル発東京である。比較しやすくするために片道運賃を調べてみた。LCCの場合、往路と復路の運賃の合計が往復運賃になることが多い。
まず5月25日の東京発ソウル。単純に日づけだけを入力して検索すると、表1のようになった。最も安いのはチェジュ航空、そしてティーウェイ航空という順になった。韓国系LCCのなかでは、これにジンエア、エアプサンを加えた4社が最安値を出すことが多い。運賃は1万6000円台からだが、安い便ほど東京を夕方に出発する便になる。ソウルの滞在を考えると、午前中には東京を出発したい。
正午までに出発と検索条件を変えてみたのが表2である。やはりチェジュ航空、ジンエアが安いが、プラス1000円ほどでエアソウルが顔を出してきた。午前11時30分の成田国際空港発である。
つづいて5月26日のソウル発東京。検索すると、ジンエア、ティーウェイ航空、エアプサンが並ぶ。しかし出発は朝の6時~7時台。仁川国際空港発である。
ソウル駅から仁川国際空港に向かう空港鉄道のA’REXの始発は5時20分。仁川国際空港着は6時27分だ。表3で出てきた安いフライトはどれも間に合わない。となるとリムジンバスになるが、ソウル市内から空港に向かう始発バスは午前4時台。空港到着は5時半ぐらいと考えたほうがいい。
日韓路線に就航する飛行機の多くが仁川国際空港の第1ターミナルを利用する。第1ターミナルはメインのターミナルビルとサテライトのような搭乗棟があり、その間はシャトルトレインで結ばれている。LCCの多くはこの搭乗棟を利用する。チェックインをすませた後、この搭乗棟に向かうことになるが、セキュリティチェックを含めると30分以上はかかる。出発2時間以前にチェックインをしないとかなり焦ることになる。
仁川国際空港の早朝便はなかなか大変なのだ。
そこで出発時間を遅らせて検索することになる。午前9時以降の出発と検索条件を変えた結果が表4だ。ここでエアソウルが登場してくる。最も安い早朝便との料金差は約4000円……。
こうして調べてみると、エアソウルに傾いていく理由がわかってくる。うまい就航時間を選んでいるのだ。日本人の感覚をよくつかんでいるのだろうか。
若い弾丸トラベラーなら最安値を狙い、前夜に空港に着き、空港で仮眠といったことを考えるのかもしれないが、年に何回も往復するようなタイプになると、それはやはり避けたくなる。年齢も影響するかもしれない。
エアソウルの親会社であるアシアナ航空は今後、大韓航空との統合の道を進むことがわかっている。エアソウルはどうなっていくのか、まだその方向は示されていない。