「学び直し」の場 県内初の公立夜間中学、16日開校へ 10代から80代の17人入学 福島

福島県内で初めてとなる公立夜間中学が16日、福島市に開校します。義務教育を十分に受けられなかった人たちを受け入れる「学び直し」の場。新たに入学する生徒と、設置を求め続けてきた人たちの思いを聞きました。

机の上に置かれた、真新しい教科書。教室は、その匂いで、満たされていました。県内初、東北では2番目の公立夜間中学「福島第四中学校天神(てんじん)スクール」。

夜間中学は戦後の混乱や不登校などで、義務教育を十分に受けられなかった人たちが学び直す学校です。

福島市の小学校に併設されたこの新しい学校。新入生を歓迎する装飾は、小学生たちが作りました。国籍や年齢を問わず学びたいという人を県内全域から受け入れ、10代から80代までの17人が16日に入学する予定です。

説明する先生「普通の教室よりも明るくするためにLEDを採用しました。夜間なので、虫も寄ってこないそうです。LEDだと」

授業は午後5時すぎから9時前まで。休み時間に食事がとれるよう、冷蔵庫や電子レンジも置かれています。

1年生の担任となる山田光裕さん。これまで、別の学校で、不登校の生徒を支援してきました。

1年生担任・山田光裕さん「私は学校でその子たちの支援をしていて、学習支援も登校支援もしていたんですけど、その子たちが今度は「学びたい」と言って集まってきたときの支援を今度はしてみたいなと。何が必要なのか。教える立場ですけど学んでいけるかなと」

天神スクールの開校にあたり、この学校で教えることを希望して赴任してきました。

山田さん「一人ひとり違うので。持っている学力とか生活の仕方とか。一人ひとりまず寄り添いたいなと。どういう支援や学習を一緒にやれたら、その人たちが来てよかったな、学べてよかったなというのができるかなって」

新たに開校する学びの場。この場所ができることを長い間、心待ちにしていた人たちがいました。

「学び直し、ありがたい」開校待ち望んだ生徒たち

福島市のアオウゼなどで、月に4回開校する福島駅前自主夜間中学。市民の有志で運営され、学びたい教科をボランティアの講師が無料で教えます。もちろん、国籍や年齢は問いません。長い間、福島で数少ない「学び直しの場」として、多くの生徒を受け入れてきました。

代表の大谷一代さん。自主夜間中学を運営する傍ら、10年以上にわたって、公立校の設置を求め続けてきました。

大谷一代さん「とてもとてもうれしいです。私たち公立夜間中学を作ると言ってスタートしたんですけど、10年以上も待たせてしまって申し訳ないなという思いがあるんですけど、実現できて公立夜間中学に入学できる方がいて、とてもうれしいです」

ようやく念願が叶った大谷さん。そして、この教室から、天神スクールへと「転校」する生徒がいます。

鈴木直幸さん(47)。この自主夜間中学に通って、5年以上になります。

鈴木直幸さん「大人になってから勉強の大切さがわかって、もう1回学び直しができるのはありがたいと思いました。社会に出てから、資格とか取るときに困ったことがあって計算を使うこともあったので」

入学を決めた理由をこう話す鈴木さん。仕事を続けながら、郡山市から天神スクールに通うといいます。

鈴木さん「不安もありますけど、楽しみもありますね。どんな人が来るのか、そういうところが楽しみです。不安なのは、郡山から通うので、毎日通うというところですね。結構、英語が好きでその辺が楽しみですね。国語をいま習っているんですけど、国語はちょっと苦手ですね」

学ぶ人、教える人、開校を望んできた人…。それぞれが期待を寄せる新しい学び舎が、開校します。

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