もどかしさが面白さ!? ファミコン時代に苦しんだ「独特な操作感」のヘリコプターゲームたち

ファミコン用ソフト『バンゲリングベイ』(編集部撮影)

4月15日は、1986年に全日本航空事業連合会が、ヘリコプターの利用促進PRのために制定した「ヘリコプターの日」。1980年代中盤は、子どもたちがファミコンに夢中になっていましたが、ほとんどの子どもが一度も乗ったことがないであろう「ヘリ」への憧れを形にしたのか、ファミコン時代には多くの「ヘリコプターゲーム」が生まれました。今回は、ヘリコプターの日にちなんで、ファミコンで楽しめるヘリゲームを紹介していきましょう。

■元祖超ムズゲー『バンゲリング・ベイ』

ファミコンでヘリコプターのゲームといえば、1985年に移植された『バンゲリング・ベイ』(ハドソン)を紹介しないわけにはいきません。大海原を往く原子力空母R・レーガンを拠点にAH-16シーアパッチを駆り、洋上の島々に点在する工場を破壊するシューティングです。

広大なマップと空母を行き来しながら、敵の攻撃をかいくぐり6つの工場を破壊すればクリアなのですが……それが恐ろしく難しい。

アパッチの操作はラジコンのような感覚で慣れが必要なうえ、ゲームの攻略そのものも難しく、当時はそうそうクリアできるゲームではありませんでした。大人になった今振り返ると、ワールドマップの島と工場の位置を把握し、攻める順番を考えないとクリアが覚束ないという点では、ストラテジー要素の強いゲームといえるかもしれません。

また当時、IIコントローラーのマイクに「ハドソン!」と叫ぶと何かが起こるという広告があり、必死に試した人も多かったはず。実際は「ハドソン!」以外の言葉でも問題なく、マイクに叫ぶことで戦闘機を出撃させられるという機能だったのですが、こうした謎めいた機能のワクワクさせられたものです。

■実はバンゲリング帝国三部作の一本だった『チョップリフター』

続いて紹介するのはファミコンに1986年に移植された『チョップリフター』(ジャレコ)。もとはアメリカのブローダーバンド社が開発したゲームで、ファミコンをはじめ多くのハードで発売されました。実は『バンゲリング・ベイ』と世界観が同じであり、『ロードランナー』とあわせて「バンゲリング帝国三部作」とも呼ばれています。

ゲームは左右スクロールでヘリコプター「ホークZ」を操るシューティングゲームですが、敵を倒すだけではなくバンゲリング帝国の施設を破壊して捕虜を救出するという要素もあります。

ホークZに乗せられる捕虜の数は少ないので、スタート地点と収容施設を何度も往復しなくてはならないというのが面白いところ。ヘリの操作は上昇や下降、左右の移動とどれも慣性が働いているかのうようで、『バンゲリング・ベイ』とはまた違ったラジコン感覚が印象的なヘリゲームでした。

■空中と地上への攻撃を使い分けて戦う『ジャイロダイン』

『ジャイロダイン』(タイトー)は1984年にアーケードでリリースされていた同名ゲームの移植作。エイリアンと手を組んだ超大国Sの秘密兵器を破壊するため、スーパーヘリ「ジャイロダイン」が出撃するといったストーリーです。

空中攻撃と地上攻撃を別ボタンで行ない、地上を攻撃すると隠しキャラが出現する『ゼビウス』(ナムコ)ライクな縦スクロールシューティングでした。

本作の面白いところは、空中攻撃が機首の向いている方向へ発射されること。「当たり前では?」と思うかもしれませんが、自機を左右に動かすと、それに合わせて機首も振られる。例えば右に移動した場合は、右斜め上に弾が飛んでいくため、回避と攻撃がかみ合わなくなります。リアルといえばリアルなのですが、そのおかげで難しかったヘリシューティングです。

■ヘリシューティングといえば『タイガーヘリ』

ヘリコプターが自機のシューティングといえば、欠かせないのが1986年にファミコンに移植された『タイガーヘリ』(ポニーキャニオン)でしょう。もとはタイトーが発売したアーケードゲームで、制作は縦スクロールシューティングの雄、東亜プランです。

ゲームは空中、地上、両方の敵を破壊できる正面へのショットと、広範囲に攻撃するボンバーを使い、敵陣を攻めていくヘリシューティングです。ショットの射程が短いため、ある程度接近しないと敵を倒せないのですが、東亜プランのシューティングらしく自機の移動が遅く敵の弾が速いため、ひたすら死にまくって攻略法を覚える必要がありました。

また、自機の左右には攻撃用オプションともいえる小型ヘリが2機まで付くのですが、これが敵の攻撃で破壊されてしまうため、小型ヘリに弾が当たらないように避けて、それで自分がやられる……なんて経験をしたのは筆者だけじゃないはず。

個人的にはトレーラーからヘリが出撃するというロマンある演出がカッコよくてお気に入りです。ゲームとしては続編のPCエンジン版『究極タイガー』も好きです。

■アドベンチャー? シューティング? それともRPG? な『コブラコマンド』

一風変わったヘリゲームといえば『コブラコマンド』(データイースト、1988年)は見逃せません。これも元はアーケードゲームなのですが、アーケード版は横スクロールのシューティングであるのに対し、ファミコン版は横スクロールシューティング部分は残しつつ、アドベンチャーやRPGのような要素を持ったゲームになっています。

各ステージのフィールドに存在する味方兵を『チョップリフター』のように収容し、彼らから情報を得ると隠された地下基地へヘリごと侵入できるようになります。そこで捕虜を救出したり、新しい武装を手に入れてパワーアップできるのです。

そうしてフィールドや地下基地の捕虜をすべて救出すればそのステージはクリアなのですが、ヘリでのシューティング要素がけっこう難しい。移動スピードは遅さに加え、独特の画面スクロールは非常に戦いづらい。また、地下基地の通路は狭く壁に触れると一発死。しかも、敵との戦闘もあるので、繊細な操作を要求されます。ちょっと難しめのゲームですが、シューティングだけでないヘリコプターのゲームを楽しみたいという人にはオススメの一本です。

自機がヘリコプターのゲームは、戦闘機タイプのシューティングと違って攻撃方法や操作感覚は独特です。シューティング要素がありながらも、敵を倒すだけでなく捕虜を救出したりするなど、新しい試みを盛り込もうという姿も見られ、ゲームの進化の過程を見ているようでもあります。思い通りに動かすのは難しいけど、できるようになると面白い。ヘリコプターをテーマにしたゲームは、そんな楽しさや新しさを味わえたゲームだったと思います。

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