埴輪4種が箸置きに 「ぐんまのはにおき」登場 県立歴史博物館の3Dデータを活用、三美堂が商品化 古墳大国の群馬県をPR 

精巧に再現した「ぐんまのはにおき」を紹介する吉村社長

 数多くの古墳が造られた群馬県が「古墳大国」だったことを感じてもらおうと、食器卸売りの三美堂(高崎市上並榎町、吉村聡社長)が、藤岡市で出土した埴輪(はにわ)の形を精巧に再現した陶磁器製の箸置き「ぐんまのはにおき」を販売した。県立歴史博物館が所有する埴輪の3Dデータを活用し、民間企業が商品化した初めての取り組み。埴輪を起点に、古代東国文化の中心地だった群馬県の魅力を発信する新たなアプローチで、3Dデータ活用の広がりが期待される。

 県は同博物館のデジタルを用いた展示に向け、文化庁の文化芸術振興費補助金を活用。2020、21年度に県内の埴輪70体の3Dデータを作った。うつわ演出家の吉村社長(38)による埴輪と製品の物語性を受け、前例のないデータを活用した商品開発となった。

 同社による群馬発のプロダクトブランド「つーーーる」の新商品として、構想から3年かけて完成。吉村社長は「原寸大のデータを縮小して型を作るのに苦労した」と振り返る。埴輪の造形を細部までこだわり、茶色に色付けして本物の風合いに仕上げた。

 商品化したのは、2018年に県などが行った県内で出土した埴輪の人気投票「群馬HANI―1(はにわん)グランプリ」で1位に選ばれた「笑う埴輪」の他、「家形埴輪」「靫(ゆぎ)形埴輪」「大刀(たち)形埴輪」のいずれも藤岡市で出土した計4種類。箸置きに適した形を選定した。

 同市には埴輪の窯跡や製作者が居住していたとされる集落、埴輪との関わりが深いとされる土師神社などがあるため、モチーフにした。商品化を受け、県文化振興課は「3Dデータの活用が広がるよう整備を進めていきたい」としている。

 吉村社長は「埴輪の質感、細かい部分をリアルに表現した。本県の埴輪の製造技術のすごさを感じてもらえるとうれしい」と力を込める。

 4種類のセットで4380円。自社サイト「つーーーる」や県立歴史博物館、高崎オーパ1階「高崎じまん」で販売している。問い合わせは同社(☎027-362-7167)へ。

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