SMILE-UP.が声明「夏にファンクラブ業務を独立」「楽曲の版権移行は段階的」 一部で指摘された“税金問題”も説明

SMILE-UP.社【写真:ENCOUNT編集部】

公式サイトで「見守って」と呼び掛け

SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)が15日、公式サイトを更新し、所属していたタレント28組295人がSTARTO ENTERTAINMENTへ移籍したことを報告した。そのファン、メディアから噴出していたファンクラブの「ファミリークラブ」を同社が運営を継続していること、楽曲の版権に関する疑問に回答した。

同社は「今後のファンクラブおよび音楽原盤等の版権の取り扱い方針について」と題し、声明文を発表した。まず、SMILE-UP.の立ち位置をあらためて明確にした。

「昨年10月に発表いたしましたとおり、本年4月より、弊社に所属しておりました28組295名のタレントたちは、株式会社STARTO ENTERTAINMENT(以下「STARTO社」)と契約し、STARTO社に移籍いたしました。弊社は補償業務に特化し、業務完了後には廃業する方針に変わりはありません。STARTO社は、弊社とは資本関係を全く有しない企業として発足しており、弊社が今後STARTO社の経営に関与することはありません。また、東山紀之および藤島ジュリー景子は、被害者の方々との対話をはじめとした補償業務に専念し、STARTO社への経営には一切関与することなく、STARTO社の活動からの収益分配を受けることもありません」

その上で、同社が運営を続けるファンクラブ「ファミリークラブ」と楽曲の音楽原盤などの版権については、「現在、段階的な方法による移管を検討しているところです」とし、下記の説明をした。

<「ファミリークラブ」について>

「ファミリークラブ」は、これまで弊社の一事業部門として、会員の皆さまの個人情報をお預かりし、ファンクラブ業務やチケット販売業務を行ってまいりました。この「ファミリークラブ」については、本年夏を目処に、弊社から分社し、独立を進めてまいります。

当初は「ファミリークラブ」をSTARTO社へ譲渡することを検討しましたが、起業したばかりのSTARTO社の経営状況からそれは難しいという判断となりました。

次に「ファミリークラブ」を閉鎖し、新規にSTARTO社でファンクラブを立ち上げることも検討しましたが、その場合、これまで支えてきてくださった会員の皆さまの会員番号もなくなることになります。今の会員番号に思い入れを持ち、長きにわたりタレントたちをお支えいただいてきた皆さまのお気持ちを考えますと、弊社としてはその選択もできませんでした。

そこで弊社は、「ファミリークラブ」を分社化し、独立させることといたします。分社した初期の段階では、弊社が分社後の「ファミリークラブ」の株主として残る形になりますが、今後、段階的に保有割合を減らしていく予定です。この間、弊社は株式配当等による「ファミリークラブ」からの収益分配を受け取ることはありません。

「ファミリークラブ」とSTARTO社は別会社ですので、「ファミリークラブ」に加入されている会員の皆さまの個人情報はSTARTO社に開示されません。また、分社化にあたって、会員の皆さまの権利やサービス内容に変更はありません。

「版権について」も説明「現時点では大量に存在する既存の版権の整理と振り分け作業を」

<版権について>

タレントの音楽原盤等の既存の版権については、現在弊社と株式会社ブライト・ノート・ミュージック(以下「ブライト・ノート・ミュージック」)が共同で保有しておりますが、既存の版権の弊社保有分の全てをSTARTO社に移管することは、ファンクラブと同様にSTARTO社にとって財務的な負担が非常に大きく、現段階では難しい状況です。

そのため、当面は弊社とブライト・ノート・ミュージックでの共同保有を続けつつ、段階的に弊社の保有割合を小さくしていく方法を検討しており、現時点では大量に存在する既存の版権の整理と振り分け作業を行っています。なお、今後新規に発生する音楽原盤等の版権については、STARTO社と版権の管理ノウハウを有するブライト・ノート・ミュージックが共同で保有する予定です。また、弊社が保有するその他の知的財産権についても、段階的に保有割合を減少させていく予定です。

また、昨年12月、「事業承継税制による納税猶予制度の適用を取り止め、納税猶予税額および利子税について全て納付を完了しております」と報告した。

昨年9月7日、ジャニーズ事務所の第1回謝罪会見で、藤島氏が社長を退任しながらも、代表取締役に留まることを発表。それを受け、週刊文春が下記のように指摘していた。

「2019年7月9日にジャニー氏が死亡して代表取締役社長となった藤島氏は、巨額の相続税を支払う義務があったが、中小企業を対象にした『事業承継税制』の特例措置で税優遇を受けている。この制度では株式の相続税や贈与税の納税が猶予される。そして、実質ゼロにするには、申告期限の翌日から5年間、承継者が代表取締役を務める必要がある。ジャニー氏が亡くなった際の相続税申告期限は20年5月で、藤島氏の場合は25年5月まで。そのため、今年9月5日に社長を引責辞任しても、代表取締役に留まったのではないか。事業承継制度の適用対象は非上場の中小企業でサービス業の場合、従業員100人以下、もしくは資本金5000万円以下のどちらかに該当すれば適用対象となる。同事務所の資本金は1000万円で、法的にも『中小企業扱い』となるが、年間売り上げは1000億円超。その状態で、税逃れを隠して代表取締役留任の理由を『被害者への補償・救済』にすり替えるのは、悪質な手口」

旧ジャニーズ事務所はその指摘には否定の見解を出し、同10月2日の第2回謝罪会見で「納税」の意思を示していた。

そして、SMILE-UP.は「59年の歴史を有する会社の廃業には、乗り越えるべき課題も多く、どうしても時間を要してしまうことがありますが、専門家の助言を受けながら一歩ずつ、補償と共に誠実に着実に進めております」と強調。最後に「どうか見守っていただけますと幸いです」と呼びかけた。ENCOUNT編集部

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