岸田政権の命運握る島根1区 事実上の与野党一騎打ち 衆院3補欠選挙16日告示 「政治とカネ」最大の争点に

右から錦織功政氏、亀井亜紀子氏、佐々木信夫氏

 衆院3補欠選挙が16日に告示される。細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区は、自民党新人の錦織功政氏、立憲民主党元職の亀井亜紀子氏、無所属新人の佐々木信夫氏の3人が立候補を予定する。3補選のうち唯一となる事実上の与野党一騎打ちとなり、岸田政権の命運を握る注目区。自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた「政治とカネ」の問題が最大の争点になる。

 島根は1996年の小選挙区制導入以降、2021年衆院選まで県内全小選挙区の議席を自民が独占した「保守王国」。自民は東京15区、長崎3区での候補者擁立を断念し、与野党とも島根1区に告示前から党幹部や国会議員が応援に入り、総力戦を展開してきた。告示後も自民総裁の岸田文雄首相や立民の泉健太代表らが島根入りを予定し、28日の投開票に向けて激しい戦いが予想される。

 自民の錦織氏は昨年12月、島根県連の候補者公募に名乗りを上げ、今年1月に党本部の公認を受けた。企業や業界団体へのあいさつ回りを重ね、県連地域支部の会合などに出席。152団体から推薦を受け、15日には公明党の推薦を得た。裏金問題を踏まえ、政治改革を訴えるとともに賃上げやインフラ整備、中山間地域・離島振興などに力を入れ、約30年の行政経験を生かし、島根と国とのつなぎ役になると強調する。

 16日は午前9時、松江市殿町の県庁前で第一声。その後、出雲、雲南、奥出雲の各市町の計10カ所で街頭に立つ。

 立民の亀井氏は今年1月に党本部が公認し、連合島根の推薦や候補者を取り下げた共産党の自主支援、国民民主党の県連レベルの支援を受ける。選挙区内で60回の対話イベントを重ね、700人超の声に耳を傾け、自民支持層の切り崩しに向けて企業や業界団体も訪問。自民の裏金事件を批判し、企業・団体献金の禁止といった政治改革や人口減少対策として農林水産業の振興、地方の公共交通維持などを訴える。

 16日は午前9時半、松江市朝日町の松江テルサ前で第一声に臨み、松江、安来両市内の計6カ所で街頭演説する。

 佐々木氏は16日に第一声などは予定していない。

◆立候補予定者(敬称略)

錦織  功政 元中国財務局長   自民新

亀井 亜紀子 党県連代表     立民元

佐々木 信夫 社会福祉法人理事長 無所属新

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