浜松では、端午の節句に巨大なかしわ餅を食べる?

端午の節句といえば、ちまきとかしわ餅。静岡県浜松市では、通常サイズのかしわ餅のほかに特大ジャンボな「大かしわ餅」なるものがあるのです。その大きさ、なんと通常の約10倍!! イラストを拡大して、じっくり見てくださいね。

昔、このあたりでは初節句に祝いの品を贈り、そのお礼として大かしわ餅を作って贈る習わしがありました。お嫁さんの実家や親戚から初節句を迎える家へ、初節句を迎える家からお嫁さんの実家や親戚へ。

庶民がかしわ餅を食べるようになったのは江戸時代後期頃から。かしわの葉は、新芽が出るまで葉が落ちないコトから“家系が途絶えない”といわれ、使われるようになったそうです。

「いまは一部の和菓子屋などが予約制(季節限定)で販売していますよ」と某餅屋の女将さん。昔は、大かしわ餅を1箱に3つも入れて贈るコトもあったといいます。

通常のかしわ餅の約10倍サイズ

食べる時は切り分けて。翌日硬くなったら、焼いたり、おしるこにしたりして食べるそう。葉のほうが小さい大かしわ餅、友だちと半ぶんこしたけど、あんが甘すぎずペロリと食べてしまった!!

私の顔が隠れてしまいそうな大きさ!

静岡のかしわ餅は4種類ある!?

つぶあん、こしあん、みそあんのほかに……、もろこしのかしわ餅があるんです。もろこしとは穀物のタカキビのコト。あんはこしあん、餅にタカキビ粉が混ぜてあります。

端午の節句はもともと女性の行事!?

昔、田植えは「生命を産み出す女性の役割」と考えられており、田植えは女性が行っていました。端午の節句は、田植え前にその女性たちが身を清める行事だったそうです。

取材・文・イラスト・写真=松鳥むう

松鳥むう
イラストエッセイスト
離島・ゲストハウス・民俗行事・郷土ごはんを巡るコトがライフワーク。著書に『トカラ列島秘境さんぽ』『粕汁の本 はじめました』(ともに西日本出版社)、『むう風土記』(A&F)などがある。

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