中日首位は“春の珍事”ではないーー記者が語る好調の要因は「元巨人4人衆」と「生え抜きレジェンド」

中日を率いる立浪和義監督(写真・時事通信)

2年連続でセ・リーグ最下位に沈んでいた中日が、8年ぶりで単独首位に立ったのは、2024年4月10日のことだった。

「まだ20試合も経過していない時期ですから喜ぶのは早いかもしれませんが、本拠地である名古屋は大騒ぎです。バンテリンドームの観客動員は好調で、グッズショップでは売り切れ商品も出始めたといいます」(週刊誌記者)

まさかまさかの好調……“春の珍事”と思いきや、好調にはしっかりと要因があるという。中日担当記者が語る。

「昨年も2年連続最下位だったものの、投手力だけ見れば十分に戦っていける、といわれていました。チーム防御率は3.08で阪神の2.66に続いて2位でしたから。ところが、いかんせん打てなさ過ぎた。本塁打がすべてとはいいませんが、1位巨人の164本に比べ、最下位の中日は71本と半分にも満たなかった。これではいくら投手が好投しても、接戦をものに出来ませんでした。

ところが今季は、その投手力は昨季同様強力で、しかも得点が取れている。打線はまだ数字面で昨季と大きな違いは見えませんが、たとえばチャンスで相手が全身守備を取らなかったときに内野ゴロ走者を帰してみたり、派手さはなくとも確実に1点を取る打撃ができています」

なかでも「4番の確立が大きい」と続ける。

「中田翔の加入ですね。彼が4番にどっしりと座っていることで、打線のつながりもリズムもいい。また、相手投手が中田を警戒するあまり、3番、5番への配球が甘くなり得点できるケースが増えています。

また、中島宏之、山本泰寛、宇佐美真吾らの活躍も見逃せません。彼らが先頭に立ってチームを引っ張っていますが、じつは中田を含めた4人は、すべて元巨人の選手。彼らは巨人時代に“勝つ野球”を身につけていますから、その存在は大きいと思います」

もうひとつの要因として、「チームのレジェンドの存在が大きい」とスポーツ紙デスクが指摘する。

「それが大野雄大投手ですね。中日一筋14年めで、過去には沢村賞も獲得したレジェンドです。彼は中日のいいときも、ここ数年のどん底だったときも知っている。その彼が2023年オフの契約更改のとき、『(中日は)ガラッと変わらんと勝てない。このままでは勝てない。選手がいちばんやらないといけないですけど、球団もそうですし、監督、コーチ、みんなが変わらないと強くならないと思う』とチーム批判覚悟で発言したんです。

ところがファンは、チーム批判どころか『よくぞ言ってくれた!』との声が圧倒的でした。オフのことでしたが、ファンも2年連続最下位のチームを『もう一度応援しよう』と盛り上がった。選手も『やらなくては!』と強く感じたと言っています。その意味でも今季の好調の最初のきっかけは、大野の発言だったと思いますね」

中日のリーグ制覇は2011年が最後。選手もファンも勝利に飢えている。

© 株式会社光文社