裏金事件の影響を警戒した鹿児島市議選の結果…自民3議席減らす 公認候補の得票率10ポイント以上低下 維新と参政は初議席、立民も1増

開票作業を始める市職員ら=14日午後9時30分、鹿児島市の鴨池ドーム

 鹿児島市議選の投開票が14日あり、新議員45人の顔ぶれが決まった。女性は過去最多の12人が当選し、議会の4分の1以上を占めた。20〜30代は4人となり、これまで議席のなかった維新と参政も議席を獲得。一方で政治資金パーティー裏金問題の影響が注目された自民は、有効投票数に占める公認候補の得票率が、2020年の前回から10.4ポイント下がり、有権者の政治不信がにじむ結果となった。

 自民は現職1人を含む4人が落選し、改選前から3議席減。前回45.1%だった得票率は今回34.7%と急落した。あるベテラン現職の選挙事務所では、岸田文雄党総裁のポスターを目立たない場所に張るなど「党を前面に出さないよう意識した」という。選挙公報に党名を記さない公認候補もおり、“自民隠し”ともいえる動きは逆風への強い警戒心の表れだった。

 一方、選挙戦で裏金問題を追及してきた立民は4人が当選し、改選前の3議席から一つ増やした。得票率は前回の4倍近い10.8%で、6議席の公明(11.7%)に迫る勢いを見せた。

 告示日には、知名度の高い長妻昭政調会長が応援に駆けつけるなど、次期衆院選をにらむ動きだった。ただ、当選した新人は「今の政治に不信感があっても、投票行動で変えようというより、棄権するとの声をたくさん聞いた」と追い風を否定する。得票率を伸ばす中、現職1人の落選は支持基盤の弱さを露呈した。

 女性は過去最多の15人が立候補。1人当たりの得票平均は男性に比べて約700票多く、有権者の女性議員への期待感が垣間見えた。初議席を獲得した維新と参政も含め、女性や多様な党派が議場に新風を吹かせられるか注目が集まる。

 投票率は40.70%と新型コロナウイルス下だった前回を上回ったものの、過去2番目の低さ。子ども医療費の窓口無料化やサッカースタジアム整備などの論戦が交わされたが、判断を二分する争点とならず、盛り上がったとはいいがたい。

 鹿児島大学法文学部の平井一臣客員教授=政治学=(65)は、若い世代や女性の議員が増えたことから、「市民感覚を生かし率直に意見を出してほしい」と話した。

〈関連〉初当選を確実にし、支持者らと喜ぶ立民公認・和るりかさん(右から3人目)=15日午前0時21分、鹿児島市吉野1丁目

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