『Civil War』A24史上最高のオープニング成績で北米No.1 BTS SUGAのライブ映画も好調

4月12日~14日の北米週末映画ランキングは、A24製作のディストピア戦争映画『Civil War(原題)』が初登場No.1を獲得。週末3日間の北米興行収入は2570万ドルで、事前の予想値である1500万~2000万ドルを上回る好スタートとなった。

『Civil War』は、『MEN 同じ顔の男たち』(2022年)や『アナイアレイション -全滅領域-』(2018年)などのアレックス・ガーランド監督・脚本の最新作。支配的な大統領が治める近未来のアメリカで、カリフォルニア州とテキサス州などの西部が独立を試みたことから内戦が勃発。ジャーナリストたちは分断された国を横断し、ホワイトハウスのあるワシントンD.C.を目指す……。

Civil War | Official Trailer HD | A24
本作は『ヘレディタリー/継承』(2018年)を抜き、A24史上最高のオープニング興行成績を樹立。北米累計興収では『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022年)の7719万ドルが歴代第1位を保持しているが、多くのA24作品は初週の公開規模は小さく、ゆるやかに上映館を増やしていくケースが多いため、初動記録の更新は6年ぶりとなった。

現在、A24は作品のスケールを大きくしていく計画で、『Civil War』の製作費は史上最高の5000万ドル。初週から3838館という拡大上映に踏み切ったこともあり、広報・宣伝費にも同じく過去最高の2000万ドル以上が投じられたというから、スタジオにとってひとつのターニングポイントとなる一作だ。本作はプレミアムラージフォーマット上映の需要も高く、IMAX上映の週末興収は全体の16%以上を占めたという。

Rotten Tomatoesでは批評家スコア83%・観客スコア77%と好評だが、観客の出口調査に基づくCinemaScoreでは「B-」評価。作家性の強さをアピールポイントとするA24にとって、賛否両論は驚くことではないものの、今後の興行的な動きは未知数だ。アメリカは今年秋に大統領選挙を控えており、世間の空気が興行に思わぬ影響をもたらすことも考えられる。

出演者はキルスティン・ダンスト、ヴァグネル・モウラのほか、『プリシラ』のケイリー・スピーニー、ニック・オファーマン、ソノヤ・ミズノ。日本配給はハピネットファントム・スタジオだが、公開時期は未定。大統領選挙と同時期の公開で話題性を高める戦略も考えられる題材だが、早期の日本公開に期待したい。

『Civil War』の登場によって、『ゴジラxコング 新たなる帝国』は公開3週目にして首位の座を譲り、今週末は第2位となった。北米興収は1億5793万ドル、世界興収は4億3653万ドルと相変わらず好調で、モンスター・ヴァース作品としては『GODZILLA ゴジラ』(2014年)に次ぐ歴代第2位となる見込み。日本公開は4月26日、ゴジラ本国での興行はどうなるか。

『ゴーストバスターズ:フローズン・サマー』は公開4週目にして変わらず3位をキープしており、北米興収9696万ドル、世界興収1億5996万ドルに到達。劇場公開で製作費1億ドルを回収できる見込みはないが、さほど悪くない結果に収まりつつある。『Kung Fu Panda 4(原題)』と『デューン 砂の惑星PART2』は、それぞれ先週からワンランクアップ。『Civil War』以外に話題の新作がなかったことが理由だとみられる。

しかしながら、先週初登場で第2位となった復讐アクション映画『Monkey Man(原題)』と、第4位『オーメン:ザ・ファースト』は、それぞれ第6位・第7位へ急落。ともにコストは抑えられているためビジネス的なダメージは少ないが、興行としても作品としても今ひとつ印象に残りづらい推移と言うほかない。

第10位には、BTS SUGAのコンサート映画『SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’ THE FINAL』が初登場。2023年に実施されたソロワールドツアーより、ソウルでの最終公演を撮影したもので、BTSからRM、JIMIN、JUNG KOOKのゲスト登場も話題を呼んだ。北米では4月10日・13日の2日間に780館規模で上映され、99万ドルを記録。現地では需要に応じて上映が追加されるという。

なお、北米映画市場の累計興行収入は昨年(2023年)と比較して現時点で約16%減。まもなくサマーシーズンが到来するが、昨年のストライキの影響もあり、ラインナップにはやや不安が残る。

北米映画興行ランキング(4月12日~4月14日)
1.『Civil War(原題)』(初登場)
2571万ドル/3838館/累計2571万ドル/1週/A24

2.『ゴジラxコング 新たなる帝国』(↓前週2位)
1545万ドル(-50.5%)/3847館(-101館)/累計1億5793万ドル/3週/ワーナー

3.『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』(→前週3位)
580万ドル(-35.6%)/3350館(-485館)/累計9696万ドル/4週/ソニー

4.『Kung Fu Panda 4(原題)』(↑前週5位)
550万ドル(-29.2%)/3104館(-294館)/累計1億7368万ドル/6週/ユニバーサル

5.『デューン 砂の惑星PART2』(↑前週6位)
432万ドル(-41.9%)/2401館(-435館)/累計2億7210万ドル/7週/ワーナー

6.『Monkey Man(原題)』(↓前週2位)
410万ドル(-59.5%)/3037館(+8館)/累計1776万ドル/2週/ユニバーサル

7.『オーメン:ザ・ファースト』(↓前週4位)
378万ドル(-54.7%)/3375館(変動なし)/累計1463万ドル/2週/20世紀スタジオ

8.『The Long Game(原題)』(初登場)
139万ドル/1030館/累計139万ドル/1週/Mucho Mas Media

9.『シュレック2』(再上映・初登場)
135万ドル/1512館/累計135万ドル/1週/ドリームワークス

10.『SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’ THE MOVIE』(初登場)
99万ドル/792館/累計220万ドル/1週/Trafalgar Releasing

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2024年4月8日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2024W15/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/civil-war-box-office-opening-1235873625/
https://deadline.com/2024/04/box-office-civil-war-1235882968/
https://deadline.com/2024/04/indie-films-opening-sasquatch-sunset-suga-indigo-girls-nicolas-cage-1235882935/
https://variety.com/2024/film/box-office/box-office-civil-war-opening-weekend-record-a24-1235970626/
(文=稲垣貴俊)

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