肥料高騰に悲鳴上げる農家…食料安定供給へ「適正に価格転嫁できる仕組みを」 衆院公聴会でJAなど意見 鹿児島市

地方公聴会で意見を述べる鹿児島大学の田代正一名誉教授(左)=15日、鹿児島市のシェラトン鹿児島

 政府が国会に提出した食料・農業・農村基本法改正案を巡り、衆院農林水産委員会の地方公聴会が15日、鹿児島市であった。JAや有識者、農業関係企業の4人が「適正に価格転嫁できる仕組みの構築を」などと述べた。

 改正案は食料安全保障の確保に向け、合理的な価格での安定供給を基本理念に掲げる。JA県経済連の新村浩二農産事業部長は、肥料高騰による生産コストを抑えるため農家がまく量を減らしているとし、価格転嫁の早急な仕組み作りを求めた。

 鹿児島大学の田代正一名誉教授(農業経済学)は輸出促進で供給能力を維持する政府方針に理解を示す一方、輸出の多くが加工品で原料は輸入が多いとし、「輸出が農業振興につながるとするのはミスリード」と指摘した。

 自民党の保岡宏武議員(比例九州)、立憲民主党の野間健議員(鹿児島3区)ら委員10人が参加。保岡氏は離島の農業における輸送コストやオーガニック給食の導入促進について質問。野間氏は法改正の主眼は価格対策とした上で、農家の収入確保は所得保障で対応すべきと主張し、意見を求めた。

 県内で地方公聴会が開かれるのは2014年の衆院予算委以来。同委としては初めて。

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