【シンガポール】5月15日に20年ぶり首相交代[政治] 副首相昇格、第4世代へ政権移譲

新型コロナウイルス流行の終息宣言をするローレンス・ウォン副首相=2023年2月(NNA撮影)

シンガポールで5月15日、リー・シェンロン首相の後任としてローレンス・ウォン副首相兼財務相が就任する。同国の首相交代は2004年以来20年ぶり。以前より計画していた与党・人民行動党(PAP)の「第4世代」と呼ばれる40~50代の国家指導者層への本格的な政権移譲となる。

首相交代は4月15日に首相府が発表した。人民行動党の議員全員の支持を得ており、リー首相はウォン氏を後任に指名するようターマン・シャンムガラトナム大統領に進言する。5月15日午後8時にイスタナ(大統領府)で宣誓式が実施され、1965年の独立から数えて4代目の首相が誕生する。

ウォン氏は1972年12月生まれの51歳。官僚出身でリー首相の秘書官やエネルギー市場監督庁(EMA)長官を務めた後、2011年の総選挙で政界入りした。国家開発相や教育相などを経て21年5月に要職である財務相に就任した。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下では、閣僚級の対策作業部会の議長を務めてコロナ対策を主導した。22年4月には人民行動党の第4世代のリーダーとなり、同年6月に次期首相候補として副首相に昇格していた。

リー首相はかねて70歳までに引退すると表明していたが、現在は72歳。最近では人民行動党が結党70周年を迎える24年11月21日より前に首相の座から退く意向を示していた。ウォン氏の首相就任で後継者問題に終止符が打たれることになる。

以前は18年にヘン・スイキャット副首相が有力な候補として浮上。次期首相が確実視されていたが、21年4月に自身の健康問題を理由に首相候補を辞退していた。

リー首相は自身のフェイスブックの投稿で、「ローレンス(ウォン氏)と第4世代のチームは、特にパンデミックの間、国民の信頼を得るために努力してきた」と評価。国民には第4世代を支援し、共に国の明るい未来を切り開いていくよう求めた。

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