アルペンルート全線開通 初の雪壁に圧倒 海外客どっと

「雪の大谷」を散策する観光客=立山・室堂周辺

 初めて見る「雪の壁」の迫力に圧倒された。15日、富山と長野両県を結ぶ観光路「立山黒部アルペンルート」の冬季閉鎖から4カ月半ぶりとなる全線開通を取材した。名物「雪の大谷」や今年で廃止する国内唯一のトロリーバスは大勢の観光客でごった返していた。今年は新型コロナの5類移行、北陸新幹線の敦賀延伸と追い風が重なり、雪上には外国人客の姿も目立った。(経済部・北代翔人)

 富山市出身の自分だが、アルペンルートは生まれて26年で一度も行く機会がなかった。今月から富山に異動となり、観光の目玉を一度は体験したいと参加した。

 午前7時、立山駅からケーブルカーとバスを乗り継ぎ、室堂(標高2450メートル)に到着すると一面の銀世界が広がっていた。ルートを運営する立山黒部貫光(富山市)によると、全線開通日は直近2年間は天候不良だったという。担当者は「今年は幸先のいいスタートになった」と喜んでいた。

 雪の大谷に足を運ぶと、雪壁をバックに写真をとったり壁に文字を書いたりする人の姿が目立った。同社によると、今年の雪壁の高さは平年より2メートル低い14メートルというが、タイから旅行で訪れた女性(28)は「アメージング。この壁が見たかった」と興奮気味。雪壁を作る除雪作業は2月から開始するため、能登半島地震の影響はなかったという。

 室堂から長野方面に向かう大観峰(標高2316メートル)へはトロリーバスに乗った。廃止前に最後の姿を収めようと、カメラで車体を撮影する人もいた。

  ●台湾、関西からも

 アルペンルートを巡って印象に残ったのは海外の団体ツアー客の多さだ。あちこちに中国や韓国語の旗を振る旅行会社の添乗員がいた。先日、地震のあった台湾からの参加者も目立った。台北市の旅行会社「晴日旅遊」の担当者は「台北での被害は大きくなく、不参加の人もいません」と話していた。

 会社員の山口大志さん(36)は北陸新幹線を使って神戸市から訪れた。「敦賀延伸で北陸に行きやすくなった。来年も来たい」と笑顔を見せた。

 立山黒部貫光によると、初日の入り込みは富山側から3549、長野側から3262人の計6811人で、昨年の5566人を上回った。室堂にあるホテル立山は大型連休まで、ほぼ満室という。地元出身の記者として自然あふれる富山の魅力と人気の高さを実感した。

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