高岡法科大28年春廃止 来年度以降の募集停止

2025年度以降の学生募集を停止すると発表した高岡法科大=高岡市戸出石代

  ●少子化で入学者減少 

 高岡法科大は15日、2025年度以降の学生募集を停止すると発表した。理由について大学側は「18歳人口の減少と大規模校指向の中で募集の継続は困難と結論に至った」とした。大学は28年3月末にも廃止となり、北陸唯一の私立法科単科大学がなくなる。高岡市戸出石代のキャンパスで学校法人高岡第一学園の川原修平理事長、根田正樹学長らが会見した。募集停止は3月28日に開かれた理事会で決定した。

 高岡法科大は1989(平成元)年に開学。99年から定員割れが続き、昨年度の入学者は40人、今年度は37人と定員の100人を大幅に下回った。

 こうした状況から理事会で「志願者数の改善の兆しが見込めない」と判断された。大学の教育活動収入は01年から毎年2億円程度の赤字が続き、志願者数の低迷について川原理事長は「求心力が持てなかったことは大いに反省する」と語った。

 今春入学した学生が卒業する28年3月末以降、全学生が卒業した後に文部科学省に大学廃止を申請する。専門の教職員について根田学長は「(他大学の)公募に対応できるよう支援を今まで以上にする」と述べた。既にメールなどで学生らに来年度の募集停止を伝えた。16、17日に学生向け、20日に保護者向けにそれぞれ説明会を開く。

 卒業生数は4770人。多くの公務員や、2人の司法試験合格者を輩出している。

  ●〈識者談話〉私学高等教育研究所・西井泰彦主幹

  ●富山の高等教育に警鐘

 今回の高岡法科大の募集停止は、人口減少問題にさらされる今後の富山の高等教育自体への警鐘ともいえる。

 富山県の場合、県内どこからも、おおむね1時間以内で通学でき、近隣の長野や新潟に比べると地元学生を確保しやすい環境にある。ただ、現在は学生となる18歳人口そのものが減少している。

 私立大学は、地域の人材養成機関の役割もあり、なくなれば若者の地元定着にも影響がある。学校がなくなると決まってから、立地する自治体が「大変だ」と慌てるようでは遅い。日ごろ、どれだけ支援や連携をしてきたのか疑問符が付く。

 全国の私立大学のうち、半数以上は定員割れの厳しい状態にある。各学校が学生募集の停止に至るのは、収支や法人の財政力、定員割れなどさまざまな状況をみて判断していることだろう。(談)

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