都心軸再生、来夏に国指定 税制優遇で投資呼び込み

金沢都ホテル跡地(右)を含む金沢市の都心軸沿線。来年夏にも国の緊急整備地域に指定される

  ●金沢駅前から片町沿線、緊急整備地域に

 金沢市都心軸沿線の再開発促進へ、市が来年夏をめどに、国から法に基づく「都市再生緊急整備地域」の指定を受ける計画であることが15日分かった。指定により沿線の開発に税制上の優遇が適用されるため、片町などでは民間投資の活発化が見込まれる。金沢駅前の金沢都ホテル跡地では高さ制限など既存の規制にとらわれない開発を後押しする方針。指定に向けて市は5月、準備協議会の初会合を開き、一帯の再生に向けた議論を本格化する。

  ●準備協、5月初会合

 準備協議会は、都市再生緊急整備地域の指定に向けて国が市に設置を求めている。産学官と金融機関、市関係団体で構成する。

 大型連休後に予定する初会合では、金沢駅から武蔵ケ辻、南町、香林坊、片町に至る都心軸沿線の課題と方向性を整理する。年内にさらに2回開催してエリアや地域整備方針の素案をまとめる。市は今年度中に内閣府へ素案を提出し、意見公募などを経て、早ければ来年6月ごろに緊急整備地域の指定が決まる。

 同地域で再開発を進める事業者は固定資産税などの優遇措置を受けられることから、片町、武蔵ケ辻を中心に課題となっている老朽ビルや商業施設の建て替えが進むと期待される。

 金沢駅前の一等地に位置する金沢都ホテル跡地については、土地を所有する近鉄グループと市が、緊急整備地域の中でもとりわけ自由度の高い開発を可能とする「都市再生特別地区」の設定を目指す方針。緊急整備地域の指定後、近鉄側が跡地における再開発の具体像を公表するとみられる。同地区の設定には県の都市計画決定が必要となる。

 金沢市の村山卓市長が15日、県庁で馳浩知事と面会し、一連の事業に改めて協力を要請した。村山市長は経緯を報告した上で「一歩一歩前に進んでいる」と強調し、民間投資を呼び込む効果に期待した。馳知事は「県の顔でもあるエリアの再生に市長と連携してしっかり取り組む」と応じた。

 ★都市再生緊急整備地域 都市再生特別措置法に基づき緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として国が指定するエリア。民間の都市再生事業に税制の特例などが設けられる。指定後、同地域内でより自由度の高い計画を可能とする「都市再生特別地区」を設定すると、事業者からの提案に基づき既存の容積率や高さ規制などにとらわれない開発が行える。

© 株式会社北國新聞社