群馬県内の大学が飲酒トラブル防止を呼びかけ 新型コロナ「5類」移行後初の入学シーズン

 新型コロナウイルス感染症の位置付けが「5類」に移行後、初めての入学シーズンを迎え、群馬県内の各大学は急性アルコール中毒など飲酒機会の増加に伴うトラブル防止へ向けて、啓発に力を入れている。アルコール耐性を調べるパッチの提供やサークル代表者を集めた研修会などを企画する一方で、学生の飲酒マナー向上を指摘する声も。専門家は「自身の限界が分からないことで飲み過ぎる場合がある」などとして、注意を呼びかけている。

 群馬大は例年、急性中毒の危険性を紹介する冊子や、アルコール耐性を調べるパッチを提供。サークル代表者らを集めた研修会も開き、未成年飲酒の防止を呼びかけている。上武大も飲酒事故や薬物、交流サイト(SNS)におけるトラブルの防止などを啓発するガイドブックを配布するほか、2年生以上には学内掲示やゼミ指導教員を通じて呼びかけている。新入生はコロナ禍でさまざまな制限を受けてきた世代でもあり、担当者は「自由な大学生活で気が緩んで、飲酒事故などを起こさないように指導したい」とする。

 高崎経済大は入学式前のガイダンスで飲み会を盛り上げるかけ声「コール」を過度に行わないことなどを促した。高崎商科大・同短期大学部も新入生向けの防犯講話で、県警職員が未成年飲酒や飲酒運転について注意喚起した。両大は長期休暇前をはじめ学生による飲み会が集中する時期、全学生にメールで注意を呼びかけている。

 一方、近年の学生の飲酒マナーを評価する声もある。共愛学園前橋国際大では今年3月、学生からの提案を受けて、酒類を提供せずに卒業式後の謝恩会を開いた。今春の新入生に対しても「(在学生が)高いモラルを持って歓迎してくれる」と信頼を寄せる。関東学園大の担当者も「最近の学生はあまり飲み会を開かない。コロナ禍以降はその傾向がさらに強まった」と印象を語る。

 アルコールに慣れていない人の飲酒について、「川田クリニック」(太田市)の川田敏夫医師は短時間での集中的な飲酒でアルコール血中濃度が上がると生命機能をつかさどる脳幹部がまひすると指摘。けいれんや昏睡(こんすい)、大きないびきなどが危険な兆候だとし「空振りに終わっても良いので、少しでも異変があれば救急車を呼んでほしい」と注意を呼びかけている。

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