トランプ氏の〝不倫口止め裁判〟が追い風に? 支持者は「エリート層による迫害」と結束

ニューヨーク州地裁に到着したトランプ前大統領(ロイター)

トランプ前米大統領が元不倫相手に〝口止め料〟を支払った疑惑をめぐる事件の初公判が15日、ニューヨーク州地裁で開かれた。大統領経験者が刑事裁判を受けるのは米国史上初で、しかも大統領選中とあって、歴史的裁判として全米が注目している。

トランプ氏は4つの事件で起訴されており、公判を迎えるのは今回が初めてとなる。昨年3月に起訴され、翌4月に実施された罪状認否手続きで無罪を主張している。陪審による評決まで2か月程度かかる見通しだ。

2016年大統領選の直前、不倫関係にあったと訴えるストーミー・ダニエルさんに支払った口止め料13万ドル(約2000万円)を隠ぺいするため、業務記録を改ざんした罪に問われている。州検察は、重罪に当たると追及。有罪判決が下された場合、執行猶予から最高で禁錮4年を科される可能性があるという。

起訴したマンハッタン地方検事のアルビン・ブラッグ氏は、「この事件は2016年の選挙を不法に妨害するための記録改ざんに関するものである。大統領選挙を汚す陰謀を企て、それを隠蔽するためにニューヨークの企業記録にウソをついたということだろう」と述べた。

トランプ氏はSNSトゥルース・ソーシャルに、「政敵に対する違法な攻撃」「最高の選挙妨害」だと投稿した。しかし、裁判はトランプ氏への追い風になる可能性が高いという。

米国事情通は「ブラッグ検事が民主党員なので、トランプ氏側は『検察はバイデンの手先だ』と攻撃しています。そしてトランプ支持者は『エリート層がトランプを迫害している』と結束を強めています。検察側の証人がどんな爆弾発言をしても、トランプ氏は驚くべきプレゼンテーション能力で、裁判所を劇場に変える機会と見ている識者は多いです」と指摘する。

トランプ氏はトランプタワーに滞在し、基本的に週4日、出廷する可能性が高い。「ニューヨーク州の法律により、裁判の様子はテレビ放送されませんが、トランプ氏は裁判所の外で会見を開くか、廊下で報道陣に向けて話すことでしょう。裁判なのに選挙活動に変えてしまうと思われます」と同事情通は話している。

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