乙武洋匡氏が胸中告白 〝逆風〟の衆院東京15区補選をエンジョイ「これ以上のハードはないよね」

選挙事務所をお披露目した乙武洋匡氏

衆院東京15区補選(16日告示、28日投開票)に無所属での出馬を表明した作家の乙武洋匡氏(48)が告示前日の15日、独占取材に応じた。過去の女性スキャンダルが蒸し返され、小池百合子都知事の支援を受けることで、ネット上ではすさまじい逆風が吹き荒れているが、「生まれた瞬間からハードモード」を公言する乙武氏は、こんな状況も楽しんでいるというのだ。

この日、乙武氏は江東区内に選挙事務所を開設し、報道陣に公開。しかし、事務所内はまだ壁紙の貼り付け作業が行われる状態で、乙武氏も「本当に間に合うのか…」と苦笑いを浮かべた。

2016年の参院選に自民党の公認候補として出馬を検討していた乙武氏だが、直前に週刊誌に女性スキャンダルを報じられ、辞退。その後、謹慎生活と海外放浪を経て、22年の参院選東京選挙区に無所属で出馬するも落選。しかし、国政への思いが消えることはなかった。

そこには前回得票した32万票への思いがあった。「当選には至らなかったものの、32万人を超える方に思いを託していただいた。その思いを国政に届けられなかったことの悔しさ、情けなさ、ふがいなさ。そういったものをずっと抱え続けてはいました」

政治への思いは強いと思いきや、20代のころは避けていたという。「批判ばかりされるし、お金もかかる。プライベートもより監視される。個人的には得がない、損しかない職業と思っている。割に合わない商売だなって今でも思ってます(笑い)」

Xのフォロワー数は87万人を超え、抜群の知名度を生かして発信もできるが、なぜ政治家にこだわるのか。「法律を作る、法律を変える、税金の使い道を決める。この3つだけはいくら発信力があってもできないこと。これによって救える人々がいると思うので、人生の後半戦はそういったアプローチで生きづらさを抱えている人のために取り組んでいきたい」と心境の変化を語る。

しかし、乙武氏の思いに反し、過去の女性スキャンダルがネット上で、再炎上している。

「2年前との一番の違いはスキャンダルを蒸し返されることもなかったし、SNSでここまでのボリュームの批判が飛んでくることもなかった。時系列で言えば、そこから2年たった今の方が批判が薄れてもおかしくない。批判をされているというのは、いかに2年前が当選ラインから遠かったのかという現れ(笑い)。裏返せば、今回かなり当選に近い位置にいるからこそ、批判されていると思う」と分析する。

SNSとは対照的に街頭演説では、多くの聴衆を集める人気ぶりだ。「SNSを見たら手応え1ミリもないけど、街に出たら温かい声を掛けてもらえる。SNS上のネガティブな声と、町のポジティブな声の両方で、当選ラインに近いところにいられているのかなと感じてるので、やるしかないなって思ってます」。

ファーストの会の副代表でありながら無所属という矛盾を指摘する声にも「(無所属は)小池さんの優しさ。参院選で32万を超える方に支持をしていただいた実績を評価してくださった。『昔から乙武さんを応援してくださった方々が、今回も無所属という形の方が気持ちよく応援できるんじゃないかしら』という彼女の思いやり。そのおかげで全部自腹になっちゃいました(笑い)」とぶっちゃけた。

先天性四肢欠損で生まれ「生まれた瞬間からハードモード」を公言する乙武氏。今回も無所属というイバラの道を選択し、「これ以上のハードはないよね。相変わらず楽しく、充実感を持ってやってます」と笑顔を見せた。

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