JR西日本/大和路線奈良~郡山間高架化で仮線切り替え、上下線同時に夜間工事

JR西日本は13日夜、奈良県との工事協定に基づき進めている関西本線(大和路線)奈良駅~郡山駅間の高架化事業(延長1880メートル)で、線路を仮線に切り替える工事を実施した。利用者や周辺住民への影響を低減するため、上下線同時に一晩で切り替えを行った。約600人の作業員が軌道や架線などを移設し、14日未明に作業を完了。通常ダイヤ通りの始発列車運行にこぎ着けた。
仮線の敷設は2021年に着工。土木軌道工事を大鉄工業、設備工事を西日本電気システムが担当している。13日は午後8時45分から終電まで列車運行を休止。区間内にある大安寺、南大安寺、八条、中八条の各踏切を通行止めにした上で切り替え工事を実施した。
同日午後6時過ぎに現地工事対策本部を設置した。作業に先立ち、桐畑修一本部長(JR西日本大阪工事事務所次長)らが総合点呼を行い、各班が準備状況を報告。指差呼称で安全ルールを確認した。桐畑本部長は「上下線の一括切り替えは難易度が高く、リスク管理の徹底が求められる。この仮線工事で地域の発展が始まっていくという思いで作業に挑んでほしい」と呼び掛けた。
現地を視察した長谷川一明社長は「作業中はお互いに声を掛け合い、安全施工に努めてほしい」と要請した。
切り替え作業では、各班が連携の下、安全第一で慎重にレールを移設した。作業の終了後、午前4時過ぎに上下線で試運転列車が徐行で走行し、軌道に異常が無いことを確認。無事に始発列車が運行を開始した。
高架化事業は京奈和自動車道(仮称)奈良ICの整備に伴い、県が主導するIC周辺まちづくりの一環で実施。区間内に新駅を設置し、既存の4踏切を廃止する。
今後、既設線路を撤去し、本体工事に着手する予定。県では28年度の高架化と新駅完成を目指している。

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