東京・大田区/駅周辺まちづくりの波及効果試算、蒲蒲線開業初年度は2900億円

東京・大田区は15日、JR・東急蒲田駅と京急蒲田駅をつなぐ新空港線(蒲蒲線)整備と蒲田駅周辺のまちづくりに伴う経済波及効果の試算結果を公表した。区らが整備を推進する蒲蒲線の第一期区間(矢口渡~京急蒲田)は開業初年度で約2900億円を見込む。同線整備で都内全域や埼玉、神奈川両県の一部地域を含めた広域エリアは約4600億円と算定した。
蒲蒲線第一期区間を整備するのに必要な投資額は約1360億円、蒲田駅周辺の都市基盤整備が約1199・8億円を見通す。
経済波及効果は宮本勝浩関西大学名誉教授の協力を得て試算した。蒲蒲線と駅周辺のまちづくりの建設投資に加え、▽蒲蒲線利用者の消費額(買い物・観光など)▽定住人口増加による消費額▽事業所の増加による消費額-を直接の経済波及効果と位置付けた。
算定結果は蒲蒲線の開業初年度と開業後10年間の大田区内と広域エリアに分けて示している。同区内は開業初年度に約2900億円、10年間が約5700億円。広域エリアは初年度が約4600億円、10年間は約1兆0200億円と予想した。広域エリアは建設投資額に対して約4倍の効果を見込んでいる。同線利用者の年間消費額は386・7億円、事業所増に伴う年間消費額が172・8億円だった。
蒲蒲線の実現に向け、区は2022年10月に東急電鉄との共同出資により羽田エアポートラインを設立。第一期区間の整備に関連する鉄道事業認可の取得や都市計画の手続きなどを推進している。第二期区間(京急蒲田~羽田空港方面)の整備も目指す。

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