Aぇ! group、デビュー曲「《A》BEGINNING」を引っ張る末澤誠也の技巧 新しい時代に挑む出発点に

4月10日、Aぇ! groupが冠ラジオ番組『Aぇ! groupのヤングタウン』(MBSラジオ)にてデビュー曲「《A》BEGINNING」のフル音源を初解禁、15日にはMVを公開した。同楽曲は先月行われたファンミーティング『Aぇ! group Aッ倒的ファン大感謝祭 in 京セラドーム大阪 ~みんなホンマにありがとう~』で初披露され、4月4日にグループの公式X(旧Twitter)アカウントにて行われたスペース配信では音源の一部が流されたが、フル尺での解禁はラジオが初めて。デビュー曲らしい勢いのあるサウンドと5人の力強い歌声がたっぷり堪能できる一曲の中で、特にメインボーカルである末澤誠也の技巧が光っている。

イントロはほとんどなしで、歌い出しで聴く人の耳を一気に奪い、末澤の“声を上げろ”というフレーズとともに火を吹くように盛り上がっていく。〈新時代への挑戦者(チャレンジャー) 堂々とらしくいこうか〉という強気の歌詞でスタートダッシュを切り、階段のように落ちていく音程が耳に残る。Bメロではクラップの音が入るため、コンサートでは会場の一体感が生まれるポイントとなりそうだ。サビ前では音が一度止まることによってサビに向かって末澤の声にスポットライトが当たるような構成に。この急ブレーキと急アクセルがサビの臨場感を生んでいるのだと感じられる。

全体的に勢いがありながらも語尾の伸びるパートも多く、悠々と進んでいくような曲調だが、2番ではリリックを詰めたラップがアクセントとなって、そこからまた解放的なBメロへと続いていくという緩急も聴きどころだ。間奏の痺れるようなギターソロでは、炎に薪を加えていくように途中からピアノや末澤のシャウトが重なっていく。その後の落ちサビでは穏やかながらもユニゾンで厚みを出し、それぞれの声が合わさったハーモニーが楽しめるようになっている。ラストのサビの〈此処が出発点〉は1番と2番の同じ部分に比べて音程が上がって際立っており、末澤のハイトーンボイスがグループの楽曲の武器になっていることがよく分かるパートだ。5人それぞれの声の良さがたっぷり楽しめる一曲の中で、末澤の高音やシャウトがAぇ! groupにしかないスパイスとして加えられ、唯一無二の魅力を生み出しているように感じられる。

また、歌詞も彼らがこれまで一歩一歩着実に歩んで戦ってきたこれまでの強さとこれから訪れる未来への宣戦布告を描いているように感じる。地道な努力を実らせた彼らが歌うからこそ意味のあるような言葉で溢れている。

ラジオの放送中、番組公式Xでは曲フリ直前にスタッフがメンバーに渡したという一枚の紙が投稿された。この番組では毎週楽曲を流す時間があるが、実はAぇ! groupの曲はBGM的に使われるのみで、コーナーとして楽曲をオンエアしたことはないという。それは彼らのデビューが決まった時に初めて流そうとスタッフ間で約束をしていたからなのだそうで、その渡されたメッセージとはこの誓いが叶えられることとメジャーデビューを祝うもの。Aぇ! groupがラジオスタッフからもこれでもかというほどに愛されていることと、待望のデビューが決まったことが改めて実感できた。

この曲は4月10日に東京ドームにて開催されたSTARTO ENTERTAINMENT所属のタレントが一堂に会したイベント『WE ARE! Let's get the party STARTO!!』でも披露され、パフォーマンスの完成度もばっちり。同月20日放送の『with MUSIC』(日本テレビ系)ではテレビ初パフォーマンスが予定されているなど、来月15日のメジャーデビューに向けて熱を増している。この曲で彼らの名前がたくさんの人の目に留まり、さらに人気の輪を広げていく姿に期待したい。

(文=池田夏葉)

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