16年ぶりVの富士通が徹底した意識統一 13年目で初優勝の町田瑠唯は涙「やっと恩返しできた」【バスケWリーグ決勝】

チームメートに胴上げされる町田瑠唯【写真:中戸川知世】

「京王 presents Wリーグプレーオフ2023-2024」ファイナル

バスケットボール女子Wリーグのプレーオフ決勝第3戦が15日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われ、レギュラーシーズン首位の富士通が同2位のデンソーに89-79で勝利し、16年ぶり2度目の優勝を決めた。「オーバーコミュニケーション」を掲げて意識統一を徹底。指揮官が「マイファミリー」と呼ぶ抜群のチームワークで新女王に輝いた。

終了のブザーと同時に、コート上には歓喜の輪が広がった。1勝1敗で迎えた運命の最終戦。両軍のチームカラーである赤をまとった4864人のファンが客席を鮮やかに染めた。富士通は序盤から試合を優位に進め、前半を45-36で折り返した。後半も激しい守備やリバウンドから流れを掴み、効果的に加点。最後の最後まで追いすがるデンソーを振り切り、89-79で16年ぶり2度目の優勝を決めた。

司令塔として8得点、6リバウンド、9アシストで牽引した町田瑠唯は涙を流し、ユニホームで顔を覆った。月曜日にもかかわらず駆けつけた観客に深々と一礼。BTテーブス監督とは10秒以上熱く抱擁を交わした。入団13年目にして初優勝。コート上でのインタビューでは「13年間の思い。関わってくれた人、ずっと応援してくれるファン、家族にやっと恩返しができたと思う」と涙ながらに感謝した。

プレーオフのMVPには、この日チーム最多の18得点を挙げた主将の宮澤夕貴が選出された。試合後の会見では「ベンチメンバーの活躍が一番重要だった。本当にチームの勝利」と、計21得点の控え選手を称賛。出場時間が長い人も短い人も「全員が同じ方向を向いて、同じ気持ちで練習していかないといけないとずっと言ってきた」。普段からチームで意識統一を徹底したことが生きたと胸を張った。

今季テーブス監督が掲げたのが「オーバーコミュニケーション」。試合でも練習でも、過剰なほどに声を掛け合った。宮澤は「みんながそれを意識して、どんどんいいチームになった」と振り返る。「絶対優勝できる」とお互いに言い聞かせ、強固になった絆は指揮官が「マイファミリー」と呼ぶほどだ。出場機会がない選手も声で貢献。コートに立つ5人だけでなく、チーム全員で栄光を掴んだ。

THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro-Muku

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