生田絵梨花「意外と自分自身は、自分がどういう人間なのか分かっていない」女優に歌手…マルチすぎる活動の源

生田絵梨花 撮影/三浦龍司

生田絵梨花さんはグループ活動をしながら数多くのミュージカル作品に出演。近年は俳優の活動に加え、音楽番組の司会もおこなう。24年の4月にはソロデビューを果たすなど、活躍の場はさらに広がっている。多岐にわたる活動の陰にある「CHANGE」を聞いてみた。【第1回/全3回】

仕事それぞれがいい相互作用を生む

トップ画像の撮影時、カメラマンの前で優雅なポーズを次々に決めていく生田絵梨花さん(27)に、スタッフから「お姫様みたい」という声が出た。生田さんはその言葉に一瞬、とまどったような表情を浮かべたが、すぐにまた笑顔をカメラに向けた。一瞬、浮かべたとまどいの表情。話を聞くうちに、その意味がわかっていった。

俳優、音楽活動、司会などさまざまな活動を同時進行で続けている生田さん。最新作4月期のドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)に出演するが、それぞれの仕事の現場にのぞむとき、どうやって気持ちを切り替えているのだろう?

生田「自分の感覚としては、仕事それぞれを分けているということはないんです。すべての活動は、表現するという点で共通しているということもありますし。まわりの人や、その環境に変えてもらっているというほうが大きいですね。その現場に行けば関わる人たちも違いますし、話すことも違うので、自然に切り替わっている感じなんです」

仕事を分けて考えない。そのことに期待しているところもあるという。

生田「たとえば、これ苦手だなとか、嫌だなとか思っていたことが、別の仕事で吸収したものがあるおかげで、それぞれがいい相互作用を起こしながら、ちょっとずつ進んでいければいいなという感覚が、自分の中にあります」

自分がどういう人間かわかっていない

仕事を分けて考えないという生田さんは、『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)では、明るくも芯の強い女性を演じ、『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)では、主人公の忘れられない元カノを演じた。役柄の切り替えには苦労するのだろうか。

生田「その役のものの見方とか、人間としての軸をつかむのは、毎回、すごく苦労しています。現場でキャストの方やスタッフさんとコミュニケーションを取りながら、実際やってみて徐々に発見していく感じなんですけど、基本的にはどんな面も、自分の中にあるものだと思っています。

自分自身もどんな人間ですかって聞かれると、それは関わる人によっても違うと思うし、状況でも変わっちゃったりします。その人のどの側面にフォーカスしてそれを広げていくか、みたいなことを、それぞれ役ごとに模索していくって感じですね」

人は多面的であり、そのときによって、さまざまなあり方を見せる。先ほどの、仕事の現場が変わると自然に気持ちが切り替わるという言葉と、つながるものがありそうだ。

生田「そうかもしれないですね。よく人から、こういう人だよねって言われることはあるんですけど、意外と自分自身は、自分がどういう人間なのか分かっていないんですよ」

ひとつひとつの仕事と向き合うこと

「自分がどういう人間なのか分かっていない」。撮影時に「お姫様みたい」という言葉をかけられて、一瞬とまどったのも、これで腑に落ちる。

生田「お姫様と言われるのもうれしいですし、それこそ明るくておしゃべりって思われることもあれば、本当にカチッとしていて真面目に思われることもありますし。暗いって言われることも。そのへんは、ちょっと自分でもわからないんですよね」

自分自身がわからない。さまざまな場で自分を表現をしていくうえで、やりにくいことはないのだろうか。

生田絵梨花 撮影/三浦龍司

生田「そうですね。でも、わからないからこそ表現することと通じて、逆に人の気持ちを少しでも知りたいとか、相手に関わることで自分も変わっていきたいと思っているので、色々な場所を経験させてもらっている今がとても楽しいです。

ひとつひとつにどう向き合っていくかが、自分自身に繋がっていくんじゃないかって思うんですよね」

多岐にわたるさまざまな生田さんの仕事。それらひとつひとつ真剣に向き合ってきたからこそ、人は生田さんにさまざまなイメージを持つのだろう。変幻自在の表情を見せるその陰には、真剣に表現と向き合う、「生田絵梨花」という変わらぬ芯があるのだ。

(ヘアメイク:近藤あかね、スタイリスト:椎名倉平)

生田絵梨花(いくたえりか)
1997年ドイツ・デュッセルドルフ生まれ。乃木坂46の中心メンバーとして活動して21年末に卒業。グループ在籍時から『レ・ミゼラブル』などのミュージカルで活躍し、23年公開のディズニー100周年記念作品『ウィッシュ』で主人公アーシャの日本版声優を務めた。24年4月には作詞作曲を務めた楽曲『Laundry』などを収録した1stEP『capriccioso』を発売。近年はテレビドラマへの出演も増え、4月スタートのドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)では脳外科秘書の西島麻衣を演じる。

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