月収30万円の33歳サラリーマン…日本年金機構から届いた「紫色のハガキ」をガン無視も、いずれ訪れる恐怖にパニック

老後の支えとなる公的年金。ただ現役世代は保険料を納付するも、年金はまだまだ先の話だからと、「日本年金機構」からのお便りには疎くなりがち。しかしなかには「重要なお知らせ」が混ざっていることもあり、無視をしているととんでもないことになることも。みていきましょう。

日本年金機構から届いた「紫色のハガキ」の正体とは?

――こんなハガキがきた

と、紫色のハガキをアップした33歳だというサラリーマン。差出人は日本年金機構。「大切なお知らせ」「必ずご開封ください。」「国民年金保険料のお知らせ」と書かれた圧着ハガキで、何が書かれているかは、ペリペリとはがして中身を確認する必要があります。

慎重にはがして中身を確認すると「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」という文字が。

お客様の国民年金保険料には、下記の納付状況のとおり未納があります。

未納があると、年金を受け取るときに影響があります。金融機関またはコンビニエンスストア等で納めてください。

何とも強い意思を感じさせる文言が並んでいますが、「はて、保険料の未納⁉ 何のことか?」と心当たりのない人もいるかもしれません。

日本年金機構によると、令和4年度末時点、自身で国民年金保険料を払わなければならない「国民年金第1号被保険者」は1,405万人、会社員や公務員など、「第2号被保険者」は4,628万人、第2号被保険者に扶養されている「第3号被保険者」は721万人です。

保険料の納付率は76.1%(令和4年度分)。その前年は73.9%から1年経過して81.0%と7ポイント近くアップしているので、この調子でいくと、1年後の納付率は8割を超えそうです。

近年、国民年金保険料の未納に対して、対策を強化。たとえば、未納者に対し後追い督励などを実施し、再三の催告にも関わらず、保険料が納付されない場合は、財産差押を実施しています。

令和4年度の状況をみていくと、文章での納付督励は3,875万件、電話では1,944万件、戸別訪問が423万件。そして強制徴収については、コロナ前の基準に戻し行われ、最終催告状を送付したのが18万9,009件、それを受けて督促状を送ったのが13万3,476件、最終的に財産差押となったのは1万2,784件。獲得納付率は56.2%になったといいます。

紫のハガキの次は「青い封筒」→「黄色の封筒」→「赤い封筒」…そして

冒頭の紫色の催告状は、納付督励の段階。「保険料に未納がありますよ」とお知らせするもので、国民年金保険料の未払い期間が半年を超えると、最寄りの年金事務所から送られてきます。

中身を見なければならないハガキなので、故意でないにしろ見逃してしまうことも。そうすると、今度は封筒に入った「特別催告状」。封筒の色は青、そして黄色、最終的には赤(ピンク)と変わっていき、語気も少々荒々しくなります。それでもなお、未納が続くと「督促状」を送付。「このまま保険料を払わないと、延滞金がかかりますよ」「財産の差し押さえになりますよ」と警告してきます。

それでもなお、すっとぼけていると、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか「財産差押」という最終局面に突入するわけです。実際の差し押さえは「控除後所得が300万円以上である」「国民年金保険料を7ヶ月以上滞納している」という条件を満たしている場合に行われています。

――とてもとても、保険料なんて払えません

そう、困窮している人から無理矢理保険料をいただく、ということはありません。経済的に保険料を納めることが難しい場合には免除申請を、と勧めています。

冒頭の男性。事情を知らないまま、ハガキの中身を見ずに捨ててしまったとか。しかし周囲から「それ、無視したらあかんやつ!」「財産の差し押さえになるぞ!」などと次から次へと警告が……男性は焦って年金事務所に電話、事なきを得たとか。

――どうも転職の際に間があき、保険料の未納があったらしい

と男性。33歳のサラリーマン、平均的な給与水準だとすれば、月収は30.70万円、賞与も含めた年収は516.72万円と、最終的に財産差押の対象となる所得水準です。

サラリーマンの場合、国民年金保険料には疎くなりがちです。男性のように転職の際に国民年金第1号被保険者に該当する期間ができ、知らぬ間に保険料未納状態に、ということも珍しくはありません。大事にならないよう、紫色のハガキのうちに自主的に保険料を納付するほうが安心です。

[参考資料]

日本年金機構『アニュアルレポート2022』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

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