【WWE】常にスーパースターのロック様 22年前には記者を〝記憶喪失〟にさせた「妙技」

初来日当時のザ・ロック(2002年)

【取材の裏側 現場ノート】ハリウッドスターのドウェイン・ジョンソンことザ・ロックは、正真正銘のスーパースターだ。6日(日本時間7日)のWWE「レッスルマニア40」(米フィラデルフィア)で8年ぶりに試合復帰。51歳になったロック様は、コーディ・ローデス&セス・ロリンズというトップ中のトップレスラーと互角の勝負を展開してみせた。

8日(同9日)のロウでは「しばらくここを離れないといけない」とハリウッドに帰って行ったが、全盛期と変わらぬ存在感を発揮。リング外でもそれは変わらず人気俳優、WWEの親会社「TKO」の取締役など多彩な顔を持つ。記者もそんなロック様の〝妙技〟を味わったことがある。

WWF(現WWE)横浜大会出場のため、初来日した2002年2月のこと。当時29歳でプロレスラーとして脂がのっており、成田空港には世界を席巻する人気スターを取材しようと報道陣が駆けつけた。ロック様は体中からオーラをビンビンに発しながら、笑顔で到着ロビーから出てきた。出迎えたファンのサインの求めにも丁寧に応じていたところで、ガードをすり抜けて近寄り「日本のメディアだが、お話を聞かせてもらえないか」と片言の英語で話しかけてみた。

すると、ロック様は「質問かい。オーケー、歩きながら話そう」と気さくに言い、人さし指をくるりと回しながら「Here we go!(さあ、始めよう!)」。後にも先にも、あれほどカッコいいしぐさは見たことがない。記者は圧倒されてしまい、それから何を聞いて、ロック様がどう答えてくれたか、全く覚えていないのだ。

当時の記事を見返すと「日本の印象はファンタスティック。長い間、日本に来るのを楽しみにしていたんだ。グレートな試合を見せるから楽しみにしてくれ」などと語っていたらしい。恐らく周りで聞いていた、他の報道陣から教えてもらったのだろう。あれから20年以上がたち、画面の中で大暴れするホブス捜査官を見ると、スーパースターの本物のオーラに触れられたことは本当に貴重な経験だった。(プロレス担当・初山潤一)

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