待望シバザクラ、いつ絶景に 100万人を魅了した“芝桜の丘”すでに祭り開催 都心のサクラ見頃終える頃、咲き乱れる傾向 圧巻のGWになる可能性大

昨年、斜面一帯に咲いたシバザクラ=2023年4月14日午後、埼玉県秩父市大宮の芝桜の丘

 埼玉県の秩父の春を代表する観光スポット・羊山公園「芝桜の丘」(秩父市大宮)でシバザクラが開花し、会場に特産市が並ぶ「芝桜まつり」が始まった。気候変動などの影響で、ここ数年は早咲き・早散りが続いていたが、今年は3月の気温が安定し、今後20度前後の気温が続けば、20日ごろから見頃を迎える見通し。施設管理者は「5月の大型連休(GW)は、久々に多くの観光客に絶景を楽しんでもらえそう」と期待に胸を膨らせる。5月6日までの芝桜まつり期間、多くの来場者に足を運んでもらおうと、市職員やボランティアらは、除草作業などの会場整備に精を出す。

 芝桜の丘は、約1万7600平方メートルの敷地に10品種、40万株以上のシバザクラが咲き誇る。市によると、開花期間中の観光客数は最大約100万人(2006、07年)で、毎年7割近くがGW期間に訪れる。コロナ禍の影響で、20年は園内を閉鎖。21年は前々年比60%減の約17万人と大きく落ち込んだ。22年と23年は、春が高温傾向で4月末に見頃が終わり、5月1日から入園無料の対応を余儀なくされた。

 同園で20年以上シバザクラを管理している市まちづくり公園課の引間隆さん(62)は「3月に低温や降雪が続いたいため、今年は昨年より開花が10日ほど遅い」と説明する。5日現在、園内のシバザクラは一分咲き。昨年の同時期は五―七分咲きだった。

 シバザクラの開花は毎年、都心のサクラが見頃を終えるころに、咲きそろう傾向にある。今年は各地のサクラの開花が平年並みか平年より遅れた。引間さんは「ここ数年、地球温暖化を肌で感じていたので、今季も早咲きを心配していた。このまま春らしい天気が続き、高温多雨に見舞われなければ、GWまで持ってくれそう」と安堵(あんど)する。

 今月から、芝桜の丘植栽地内の除草作業が本格的に始まった。スギナやカラスノエンドウなど、草丈の高い雑草を放置しておくと、草丈の低いシバザクラに覆いかぶさり、早枯れにつながる。市は毎年、ボランティアや市シルバー人材センターの協力を得ながら雑草対策を強化し、景観維持に努めている。

 20年間、除草作業に協力している同市の高橋信夫さん(81)は「毎年、来場者の笑顔を見るのが楽しみ。ここ数年は、コロナ禍の入場規制やGW前の早散りが続いたので、気持ちが曇っていた。今年は久々に多くの方の笑顔が見られそう」と声を弾ませる。

 市まちづくり公園課は現在、除草ボランティアを募集している。実施期間は10月までの毎週金曜で、作業時間は午前7時から90分程度。担当者は「コロナ禍以降、参加者が半減してしまっている。多くの方と一緒に観光地を盛り上げていきたい」と話していた。

 除草ボランティアの問い合わせは、同課(電話0494.26.6867)へ。

羊山公園「芝桜の丘」の除草作業に励む作業員=5日午前、秩父市大宮

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