B群に新ボス誕生―。大分市神崎の高崎山自然動物園は15日、B群第20代の1位(通称・ボスザル=αオス)に2位の「オオムギ」(22歳)を認定した。同園史上初の雌ザルでトップになった「ヤケイ」(11歳)との順位確認テストで優位性を見せつけた。オオムギはC群でもトップの経験があり、二つの群れで1位となるのは名誉ボスの称号を持つ「ベンツ」以来の快挙。
B群(643匹)は昨年11月に序列1位のゴローが群れを離れ、ボス不在の状態が続いていた。通常なら1カ月をめどに2位の雄ザルを1位に認定しているが、3月までオスとメスの関係が不安定になる発情期だったため、動向を見守っていた。
発情期が終わる4月となり、2位のオオムギと、昨夏第3子を出産して以前の勢いを取り戻しつつあるヤケイとで序列確認をすることにした。
2匹の間に殻付きの落花生を置いて、どちらが食べるかで優位関係を判断。職員が落花生を5回置くと、4回をオオムギが堂々とつかみ取った。ヤケイは1度しか手を伸ばさず、いつもの気性の荒さは全く感じられなかった。
サルの序列は原則としてオス同士の間でつけるため、ヤケイは序列外になる。オオムギは2016年にC群序列1位になり、翌年B群に移籍。群れで一番体格が大きいが温厚で争いを好まないという。
同園はテストの様子を初めて公開。大粒の雨が降りしきる中、多くの人が見守った。大分市宮崎の岩男光芳さん(73)は「年寄りをいじめるヤケイの姿をよく見ていた。オオムギには子どもに優しく、統率力のあるボスになってほしい」と期待した。
専門員の藤田忠盛さん(53)は「オオムギは人間でいえば60代。今後、血気盛んなヤケイにトップの座を奪われる可能性は十分にある。動向を見守っていきたい」と話していた。