避難所受け付け、スマホアプリでスムーズに 熊本市が運用開始 在宅、車中泊も把握可能【熊本地震8年】

熊本市が運用する「くまもとアプリ」の実証実験で、避難所受け付けの仕方を確認する市民=2月25日、同市南区

 2016年の熊本地震では、熊本市で最大約11万人が避難所に詰めかけ、受け付け業務や避難者情報の把握が課題となった。市が3月に運用を始めたスマートフォン専用の「くまもとアプリ」は、QRコードを読み取り、避難者の人数などを入力するだけで受け付けが完了。市民がいつ、どこに避難したかを即時に把握することができ、市は被災者支援に欠かせないツールとして普及を進めている。

 アプリは市が3月27日に運用を始めた。利用登録にはマイナンバーカードとのひも付けが必要となる。

 熊本地震では多くの市民が避難所に身を寄せた。市によると、安全確保のため受け入れを優先させ、状況が落ち着いてから避難者の情報把握を進めるケースも少なくなかった。紙を使った受け付けは氏名や住所などを書く手間がかかるほか、紛失の恐れもあった。

熊本市が運用を始めた「くまもとアプリ」の見本画面。避難所受け付けの効率化など、防災面での活用も図る

 市は2月下旬、南区の力合西小で約60人を対象にアプリを使った避難所受け付けの実証実験をした。紙とアプリ利用の所要時間を比較すると、紙が1人当たり平均70秒だったのに対し、アプリは4・6秒と約15分の1に短縮。市民にとっては待ち時間が大幅に減り、市職員の負担も軽減できるという。

 市は、災害発生時には約200カ所の指定避難所にQRコードを掲示し、アプリを利用できる準備を整えた。アプリには指定避難所以外の、在宅や車中泊などの避難状況を登録する機能も搭載。支援物資を効率的に配ったり、登録者の同意を得て避難先を関係者に伝えたりするといった、より良い被災者支援につなげる。

 アプリの登録者は7日時点で1239人。市は24年度中に1万9千人の登録を目標としており、防災計画課は「災害に備え、多くの人にダウンロードしてほしい」としている。

 市民の地域活動への参加を後押しするため、市のイベントやボランティア活動などに参加するとポイントが付与される機能もある。たまったポイントは25年度以降、協賛店のクーポンなどに交換できる。

 市は14日、熊本地震の啓発イベント「防災パーク」を中央区の花畑広場で開き、アプリのPRブースも設ける。市防災計画課☎096(328)2354。(臼杵大介)

熊本地震の「本震」発生後、避難所として開放された小学校に入る住民ら=2016年4月16日未明、熊本市中央区(谷川剛)

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