「思い持った担い手 育てる」篠原一生さん(46) 長崎・壱岐市長選に初当選

 〈任期満了に伴う壱岐市長選で14日、新市長に選ばれた。市が抱える課題に今後どう取り組むのか。一夜明けた15日に具体策や思いを聞いた〉

壱岐市長選に初当選した 篠原一生さん(46)

 -選挙を終えた今の心境は。
 5千近い票をいただいた。私や壱岐の未来に対する期待の表れと重く受け止めている。まだ実感はなく、やっとまた市役所で仕事ができるという感覚。市職員だった当時との違いは選挙戦の経験。1万人以上の島民と出会い、1人ずつの顔が浮かぶようになった。血の通った事業や政策をする上で重要になる。

 -争点がないとされた選挙で、有権者からどのような点を期待されたと分析しているか。
 政策の実行力の違いだと思う。行政経験や壱岐の外で働いた経験、国や県との人脈も評価されたのでは。

 -白川市政の路線から継承することと変更することは。
 国境離島新法や光ファイバー網など整備された基盤は活用したい。新しいことに挑戦する精神も受け継ぐ。人口減少、後継者、少子高齢化の三つの問題解決が重要。市の施策がこれらにひも付いた事業になっているか、もう一度見直す。

 -選挙では「100の政策」を掲げて戦った。まず取り組むことは。
 市民のために働く「主体的な市役所」に変える。市長だけでやれることは限られているので、職員と話し合って進めたい。農業や漁業といった基幹産業の振興も喫緊の課題。あらゆる手を尽くしていく。

 -子どもの給食費や保育料の無償化を強く訴える候補もいた。子育て支援についての考えは。
 限られた財源で続けられるか分からない事業を無理して実施してはいけない。それよりも、全世代に恩恵を与えられる投資的な事業に取り組みたい。

 -人口減少対策にどう取り組むか。
 特効薬があれば既にしている。方針としては外に出た島民が、帰ってこられる島にしたい。壱岐への思いを持った担い手をいろんなところで育て、大きな意味で壱岐の市民を増やす。

 -過去最多の4人が出馬し、それぞれ一定の支持を得た。島内ではしこりも残るのでは。
 争点がないと言われたように、基本的な思いの部分は4人とも同じだったのでは。島の人口は約2万4千人。みんなでやらないと課題解決につながらない。一緒に進んでいきたい。

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