「温かみ感じて」波佐見焼で“朝食を” 提供器を変更 長崎県立大佐世保校・生協食堂

波佐見焼の器に盛り付けられた朝食

 長崎県立大佐世保校の生協食堂は4月から、朝食などを提供する器を波佐見焼に変えた。栄養面を考えた料理を、より家庭的な温かみを感じながら食べてほしいとの食堂スタッフの思いがあり、学生の評判も上々のようだ。
 波佐見焼の器を使うのは食堂2階で振る舞う朝食とカフェメニュー。食堂店長代行の松尾尚子さん(56)によると、朝食は以前から提供していたが学生の人気は高くなかった。学生が好みそうなメニューに見直すなど試行錯誤したが、それでも反応はいまひとつだったという。
 次に着目したのが器。見た目のおいしさや温かみをより感じてもらうにはどうしたらいいかを考え、多くの食堂などで一般的なメラミン食器からの変更を提案。波佐見焼を研究する同大地域創造学部の竹田英司准教授(地域経済学)のアドバイスを受けて波佐見焼の器をレンタルすることにした。費用は購入するより安く抑えられたという。
 こうした取り組みの根底には“母親”としての思いがある。松尾さんは「とにかく栄養を取ってほしい」と語る。松尾さんも2人の子どもを県外の大学に送り出した経験があり「寂しい思いをしていないか、ちゃんとご飯は食べたのかと心配は尽きない」。佐世保校の学生の約6割が県外出身者で、離れて暮らす親の気持ちが分かる分、食事が楽しい時間になるようにと環境を整えた。
 食堂では、自分の好きな柄の湯飲みと茶わんを選べるようにした。波佐見焼で朝食を取った同大地域創造学部実践経済学科4年の寺下日和さん(21)は「今までよりも温かみを感じるようになった」と笑顔。井川梨沙子さん(21)は「グレードアップしたように見え、変わってよかった」と話した。

波佐見焼の器で朝食を取る学生=佐世保市、県立大佐世保校

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