「壱岐を日本一の島に」篠原一生さん 新人4人、激戦勝ち抜く 長崎・壱岐市長選

初当選を決め、支援者から笑顔で花束を受け取る篠原さん(左)=14日午後8時半、壱岐市郷ノ浦町

 長崎県壱岐市の次のトップを決める市長選の投票箱が開いた14日、新人4人による激戦を勝ち抜いたのは篠原一生さん(46)だった。大勢の支援者が集まった同市郷ノ浦町のホテルに同日夜「当選」の報が届くと、大きな歓声と拍手が湧き起こった。
 市職員時代は政策企画や財政に携わり、市東京事務所長など本土と島を結ぶ仕事を長く担った。都市部の企業や大学などと連携して人脈を広げたが、一方で人口減少や地域経済の衰退が進む古里の将来を憂いていた。
 現職の退任を知り、「先頭に立つ」と決意。昨年10月、誰よりも早く出馬を表明した。ただ、政治活動や選挙運動の経験はなく、周囲には「まだ青い」と冷めた視線を送る人もいた。
 それでも諦めなかった。雨の日も雪の日も慣れないつじ立ちを続け、行き交う人や車に手を振った。市内全域の約1万戸を訪れて住民の声に耳を傾け、暮らしの厳しさを改めて知った。「壱岐の未来を明るくして」という願いを聞き、地域活性化の「100の政策」を練り上げて決戦に挑んだ。
 人間関係が濃密な離島の選挙は地縁や血縁に左右されやすいとされる。しかし、表に出て支持してくれる仲間は徐々に増え、支援の輪が広がった。篠原さんは二人三脚で戦った妻の美紀さん(48)と支援者に感謝し、力強く宣言した。「壱岐を日本一の島にしよう」。そこには堂々とした新しいリーダーの姿があった。

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